2022年3月6日日曜日

「ボブがくれた世界」

日本で翻訳が出ているボブ猫本4冊の内、図書館で借りてきた2冊、まず、写真満載の「ボブが教えてくれたこと」を読み、そして第2作にあたる「ボブがくれた世界」を読んだのですが、公開中の映画「ボブという名の猫2」のエピソードがこの「ボブがくれた世界」から多く取られていることがわかりました。

「ボブ猫2」は原作は「ボブが遺してくれた最高のギフト」と「ボブが教えてくれたこと」となっているのですが、「ボブがくれた世界」も原作と言っていいのではないかと思います。

「ボブがくれた世界」はボブと出会ってから2年後、ビッグイシューを販売しながら薬物依存症の治療の最終段階に入っているジェームズとボブの暮らしから始まり、最初の本「ボブという名のストリート・キャット」を出版するまでの3年間が描かれます。

原書の表紙(アマゾンから)


ここで、ジェームズがボブを虐待しているという難癖をつける人が現れるとか、映画に登場するエピソードの原型のような話がいくつか出てくるのですが、特に、映画の中で役に立たない外国の紙幣を渡す男性のエピソードのもとになったと思われる話が2つ出てきます。

1つは、当時、ロンドン市長で、現在は英国首相であるボリス・ジョンソンが通りかかり、ジェームズからビッグイシューを買うのですが、渡したお金が両替できないスイスフランのコイン。ボリス・ジョンソン、おまえ。。。

もう1つは、身なりのよい男性が近づいてきて紙幣を渡すのだけれど、これが外国の紙幣で、70ペンス相当、しかも両替できないシロモノ。映画の紙幣より全然安い。

どちらも、金持ちは貧しい人がどれだけ苦労しているか、お金に困っているかまったくわからず、こういうやり方で人を傷つけるエピソードとして紹介されています。

映画の「ボブ猫2」はクリスマス映画ということもあって、前作にあったようなきびしい状況やつらい話はほとんどないですが、「ボブがくれた世界」はジェームズが受けたいやがらせやいやな出来事がいくつも書かれていて、路上で雑誌を売るのも大変なのだと思います。また、本が出ることが決まると、ビッグイシューの販売員が嫉妬していやがらせをしてきたりといったつらい話もけっこうあります。

映画はこの辺はあまり強調せずにほんわかムードになっていますが、それでも、使えない紙幣を渡す男とか、難癖ばかりつける動物福祉局の男とか、小さな悪意が描かれていて、そういう小さな悪意の積み重ねが人を傷つけるのだということはわかります。

前にも書いたように、「ボブがくれた世界」The World According to Bobは「ガープの世界」The World According to Garpのもじりなのですが、アマゾンで原書の試し読みを見たら、目次もいろいろな作品のもじりになっていることが判明。

目次のスクショです。


4は映画「おかしな二人」

7はテネシー・ウィリアムズの劇「熱いトタン屋根の上の猫」

10はチャールズ・ディケンズの小説「二都物語」

13のパブリック・エネミー・ナンバー1は歌のタイトル

14はジェーン・オースティンの小説「高慢と偏見」

16は「007/ドクター・ノオ」

18はサミュエル・ベケットの劇「ゴドーを待ちながら」

エピローグはスピルバーグの映画「オールウェイズ」

とりあえずすぐにわかったのを書きましたが、全部元ネタありそうです。

しかし、翻訳の目次はまったくシャレを反映してません。タイトルもですが。

第1作の「ボブという名のストリート・キャット」と、「ボブ猫2」と原題が同じ「ボブが遺してくれた最高のギフト」A Gift from Bobは予約中で、後者はそろそろ借りられそう。「ボブ猫2」は日本では原題がA Gift from Bobになっていますが、あちらではA Christmas Gift from Bobというタイトルで公開されたようで、原書も映画に合わせた表紙になっています。


しかし、こんなにシャレがあるとわかると、原書を手に入れたくなる。