2024年9月10日火曜日

アーリー・リタイア

先日、中山競馬場に、100均で買った折り畳み椅子を持っていった。

レースが始まると座る場所がないと思い、持っていって、芝生観覧エリアで使用。

もともとは地域猫のいるところで休憩するのに使おうと思って買ったけれど、ほとんど使っていなかった。唯一、役に立ったのは、22年暮れに腰の肉離れを起こしたとき。

この猫はもういない。


最近、ネットを見ていると、アーリー・リタイアした人のブログが目につく。

まだ引退する年齢ではないけれど、早めに仕事をやめて無職かそれに近い状態になっている人たち。

2000万円以上貯めてリタイア、という人、それをめざしている人が多いようだけど、彼らの中には株などをやって儲かっている人もいれば、株で損してばかりいる人もいる。そもそも貯金があるのか資産があるのかもわからないリタイア組もいて、どうやって生活してるのかなあ、と思う。

リタイアしたわけではないけど無職で、仕事を探してる、という人もいるけど、この人たちも全然余裕というか、貧乏と言いながら、1年以上無職でも食べていけてる。

たぶん、貯金がたっぷりあるのだろうな。やっぱり持つべきものはお金。

貯金があって無職だと、食べるのに困らないのに住民税不課税で、いろいろな給付金がもらえるらしい。やっぱり持つべきものはお金。

そしてお金以上に大切なのは心身の健康、だろう。

それにしても世間の人って、健康診断受けるのが好きなのね。

私は健康診断は20代後半から受けていない。数年前に眼底出血があって、糖尿病などの恐れがあるから血液検査を受けろと言われ、近所の病院で受けたとき、胸部レントゲンやら心電図までやられて、まあ、心配なところはないと言われた。

この病院の先生は、相手の年齢を見て、それに応じて多少数値が高くても心配させるようなことは言わない人だったので、よかった。会社の健康診断とか、数値が少しでも高いとやれ再検査だの何だのと脅すらしい。でも、町医者に聞くと、それはそんなに心配しなくていい、と言われたりもするようだ。

とにかく私は健康診断は受けない、病気が発覚したらそのときはあきらめる、という方針でこれまで生きてきたし、これからもそうする。

リタイアしたわけではないけど無職の人の中には心の病を抱えている人もいて、この心の病はなかなかにむずかしい。私もエコキュートなどの低周波騒音のときはうつ状態になったし(あの頃のことは詳しく書いてないけど、いずれ書いた方がいいような気がする)、今は2階のひきこもりストーカー男のせいであまりよい精神状態ではない。

というか、去年の春、15年間つきあった地域猫が逝ってから、何かやる気を失ってしまい、そしてその夏に2階の男が毎晩私が帰るのを見張っていていやがらせをしていることに気づいた。

今年はエアコンを買ったので、去年までのようにコーヒーショップで遅くまで涼をとる必要がなくなり、自宅にこもることが多くなって、外へ出ないから余計精神的によくない。中山競馬場が唯一の気晴らしって、どうよ。馬券予算は平均600円なので、金銭的にはあまり問題ない。交通費を考えても映画館より安い。

地域猫が逝ったのは23年春で、その前の22年秋に映画の授業をしている某大学を雇い止めになりそうになった。

私の授業は学生に人気があり、専任の先生にもそれはわかってもらえていたのに、コロナの間に専任が大幅にかわり、懇親会もなくなって、非常勤講師のことをよく知らない専任が私のことを雇い止めにしても大丈夫と思ったらしい。もちろん、大反撃して、なんとか授業は続けている。

でも、あのとき、大反撃したのは、あの地域猫がいたからだ。あの猫が生きているうちは、私も生きていないといけない、それには大事な授業を失うわけにはいかない、と思った。

でも、翌年、あの猫が逝ってしまって、生きる意味を失ったような感じがした。

授業がある、ということが、今度は支えになっていた。

前は夏休みや春休みのような長い休みのときは、授業再開が近づくとちょっと憂鬱だったのに、早く休みが終わって授業をしたい、と思うようになった。

でも、今年になって、授業再開を待ち望む気持ちもかなり減ってきている。

某大学とは別の大学が今年で非常勤定年で、来年度はない、というのも気持ちを落ち込ませているのかもしれない。

貯金がたっぷりあれば、心に余裕があって、好きなことができるのか、それとも、今の自分の精神状態では、それもだめなのか?

そもそも、映画評論家としては、10年くらい前にもう終わっていた、というのがある。それが、映画の授業ができていたり、ごくごくたまに執筆機会があったりするので、自分をごまかしていたことに気づく。

とりあえず、目先の楽しみなものを見つけて生きていくっていうのも限界だよなあ、と思いつつ、10月からの西洋美術館のモネ展の予告を見ていたら、モネはあの睡蓮の大作を描いたのは70代になってからなのだと。

「画家ボナール」にもモネが出ていたけど、そんな年になってからあんな大作を次々と描いていたのか。しかも、視力の衰えもあったのに。

無年金だから非常勤講師の仕事を失ったら収入もなくなるので、人生もう終わりでいいよね、と思ったけど、モネのことを知って、少しまた考えたけど、必要なのは情熱、ではないだろうか。