2024年9月14日土曜日

「ヒットマン」

 久々にシネコンへ行って、リチャード・リンクレイターの新作「ヒットマン」を。

しがない大学教師が、殺し屋に殺人を依頼する人を逮捕するおとり捜査に協力して、偽の殺し屋になっていた、という実話をもとにした映画で、ストーリーは完全にフィクション。でも、主人公の名前はモデルそのままのゲイリー・ジョンソン。ジョンソンご本人は映画製作中の2022年に亡くなっている。だが、映画の中のジョンソンはトンデモなやつなので、いいのか、と思ったが、一応、脚本読んで許可してるんだろうからいいのか。

脚本も担当しているグレン・パウエルがジョンソンを演じ、その七変化が見もの。殺しを依頼する相手によっていろいろ変装しているのだけど、そのわりにはいつもの姿で依頼者に会っていたりもして、大丈夫なのかと思う。

オリジナルと日本版のポスターの違いが面白い。オリジナルの方がパウエルの七変化(五変化?)がよくわかる。


日本版はパッと見て七変化がよくわからない。バックの線は映画を見るとわかります。


映画はロッテントマトではものすごく評価が高いのだが、それほどのものか、というのが正直な感想。確かにひねりのきいた面白い脚本で、俳優陣が個性的で演技がうまく、ラストもこれでいいのかと思わせるようなものなのに受け入れられてしまうような感じ。

ネタバレして解説するほどのことはないので、ネタバレはしませんが、パウエル演じるジョンソンが突然、偽の殺し屋にさせられて仕事に向かい、そこでいきなり名役者に変身してしまうのだけど、この、なぜかいきなり名役者に変身、というのがクライマックスのあたりにもあって、リアルな世界だったら、役者じゃあるまいし、こんなにうまくいくわけないよね、と思う展開なのだが、ひとつの芸として納得させられてしまうというか、リアルじゃないけど面白いからいいか、みたいな感じになっている。

ラストも、これでいいのか?なのだけど、ここも、リアルじゃないけど面白いからいいか、と思えれば、あれでいいのであろう。

ネタバレはしませんが、と書いたけど、ちょっとネタバレ。

プリテンダーがプリテンダーでなくなるというのがクライマックスからラストなのだが、ここもリアルな変化でなくて、いきなり名役者になったように、いきなりプリテンダーから本物になっているのである。