先週に続き、今週も気になる映画2本立ての名画座へ行ってまいりました。
今回見たのは「ハッシュパピー バスタブ島の少女」と「ムーンライズ・キングダム」。
が、映画よりも驚いたのは、映画館を走り回る子供たちを目撃したことです!
映画館を走り回る子供なんて、映画館にしょっちゅう行っていたときでさえ、ほとんど見たことはありません。なんかもう、怒るより、珍しいものを見た、って印象の方が強い。
そもそも、子供はアニメのように子供向けの映画ならとても真剣に見ていて、走ったり騒いだりしません。また、子供には理解できない映画には大人は連れてこない。自分たちが大変だし、子供が小学生なら、学校に行っている間に映画に行く、という感じだと思います。
つまり、子供が走り回る映画というのは、子供も面白く見られると大人が勘違いした映画です。
今回の2本は、どちらも子供が主役の映画。「ハッシュパピー」は嵐で海面下に沈んでしまうアメリカ南部の島の少女とその父親の生きる姿が描かれた作品で、アカデミー賞にもノミネートされ、話題になった作品。「ムーンライズ・キングダム」はウェス・アンダーソン監督の新作で、12歳の少年少女が駆け落ちし、大人たちは大騒ぎ、少年の仲間のボーイスカウトたちも巻き込んで、というコメディ。
そんなわけで、映画を見にきた保護者さんは、自分も見たいけど、子供にとってもきっといい映画、と思ったに違いありません。
子供たちが来たのは私が「ハッシュパピー」を見終わったあとで、小学校低学年くらいの子供3人が最前列の私のすぐ後ろに座りました。時間はすでに午後6時。2本とも見ると終映は9時半にはなるので、まずそれに驚きましたが、保護者らしき人がそばにいないのもちょっと驚き。保護者がいないということは、この小学校低学年の子供たち3人が自らこの映画を見たいと思ってきたのだろうか? こんな幼い子がウェス・アンダーソンの新作を? と不思議に思っていると、休憩時間には走り回っていた子供たちは、映画が始まるとお菓子をほおばり、でも、そのあとはまじめに静かに見ていたので、やっぱりこの子たちはこの映画を薦められて見に来たのだろうか、でもこの映画、12歳の少年少女が駆け落ちとか結婚とか、少女がブラとパンティだけの姿でいるシーンがあるとか、少女の母親が警官と不倫してるとか、これ、ほんとに子供に見せていい映画なの?と不思議に思いつつ、でも、子供たちを中心とする話の部分は面白いから、やっぱりいいのかな?と、妙に学校の先生か父母のような気分で見ていたのですが、やがて映画が終わり、エンドクレジットが始まると、子供たちはいきなり「次も見るか聞いてこよう」と言うと、全員がスクリーンの前を突っ走り、通路を駆け上がり、そして客席の後ろの通路をまわってまた戻ってきたのです。
そのあとも、いろいろな楽器が紹介される粋なエンドクレジットの間中、おしゃべりしていて、ちょっとうざかったのですが、上映が終わると、なんと、保護者が来て子供たちのそばに座り、騒ぐなと叱ったのでした。
つまり、保護者はずっと後方の席にいて、子供たちだけが前の方で見ていたというわけ。この保護者の方がこの2本立てを見たくて、でも、子供が見ても面白いと思って連れてきたのかな、と思ったのでした。
私はもう2本とも見てしまったので、映画館をあとにしましたが、正直、「ハッシュパピー」は子供が見て面白い映画とは思えません。大人の私もちょっとこれは私向きでなくてイマイチでした。
この子供たちはエンドクレジットの前までは静かに見ていたので、それほど迷惑とは思いませんでしたが、むしろ、映画館が冷房が効いていない方が苦痛でした。「ハッシュパピー」のときは本当に暑くて、途中で扇子を取り出して扇いでいたらだんだん冷房が効いてきましたが、冷房を控えている場所が最近、多いので、扇子は手放せません。先週も休憩時間が暑くて、私以外の人も扇子で扇いでいたので、そういうクオリティの映画館なのかもしれません。
追記 映画は2本とも字幕スーパーで、文章も漢字も大人を前提にしたものでした。「ムーンライズ・キングダム」はPG-12となっていて、12歳以下は親が注意、ということなのかな? 「ハッシュパピー」は年齢については特に規制はありません。