2013年8月22日木曜日

ガラパゴス

日本が世界というか、欧米先進国に比べて遅れているというか違うところをやたらとガラパゴス化という記事をよく見るけれど、ガラパゴス化って、ガラパゴス諸島に失礼じゃないのかな?
ガラパゴス化の定義は、ウィキペディアによると、次のとおり。

ガラパゴス化(ガラパゴスか、Galapagosization)とは日本で生まれたビジネス用語のひとつで、孤立した環境(日本市場)で「最適化」が著しく進行すると、エリア外との互換性を失い孤立して取り残されるだけでなく、外部(外国)から適応性(汎用性)と生存能力(低価格)の高い種(製品・技術)が導入されると最終的に淘汰される危険に陥るという、進化論におけるガラパゴス諸島の生態系になぞらえた警句である。ガラパゴス現象(Galápagos Syndrome)とも言う。

日本で生まれたのに英語になってるのか、すごい。
最初は特に日本の携帯電話について言われたようで、ガラケーというのがそうだけど、このガラケーは上のガラパゴス化の記事http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%83%91%E3%82%B4%E3%82%B9%E5%8C%96の下の方にあるように、日本独自の発達をした携帯で、外国では使えない(というか、売れない?)。それでガラパゴス携帯と言われ、現在はスマホが主流となっているが、それでもガラケーが手放せない、いやそれどころか、スマホからガラケーに戻したいという人も多いようで、ガラケーは死なず、なのです(私もガラケーで、スマホにするつもりなし)。

そして、携帯だけでなく、いまや、日本の大学教育とか、就職活動とか、あらゆる点について、日本はガラパゴス化していると、識者のような人々が熱弁をふるっています。確かに日本の大学や就職状況は欧米先進国とはかなり違っていますが、欧米が必ずいいわけでもなく、ガラパゴス化が悪いとは限らないと思うのですが、とにかくガラパゴス化といえばみんなこれは大変だ、なんとかしなきゃ、グローバル化、欧米化、となる感じで、こういう態度がまた日本的なんだけど、いやだなあと思うことも多い。

さて、こんなふうに悪いイメージで使われているガラパゴス。その元祖・ガラパゴス諸島は、ウィキペディアのページで見ると、自然が豊富ですばらしい場所のようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%83%91%E3%82%B4%E3%82%B9%E8%AB%B8%E5%B3%B6
ここでのみ生息する貴重な動物が多く、世界から取り残された楽園のようです。とても美しい世界のように見えますが、このガラパゴスを悪い意味に使う日本人の感性とはいったい…。

上の記事の最後に、こんないい話が書いてありました。

ガラパゴス諸島の中のフロレアナ島のポスト・オフィス湾には、無人の郵便局が存在する。郵便局とは名ばかりで木製のポストが置いてある簡素な郵便局であり、手紙を回収にくる郵便局員もいない。海賊船の時代が終わり捕鯨船の時代に入った18世紀末ごろ設置されたとされ、船乗り達がこのビーチに樽を置いて郵便を投函しておくと、立ち寄った別の船が自国宛ての郵便があれば持ち帰って届けてくれた習慣に湾の名前は由来している。今でも観光客が真似てこの郵便局に手紙を残し、残した数だけ自国宛ての手紙を探して持ち帰り、帰国した際に切手を貼って送る慣習になっている。

話はずれますが、大ヒット中のインド映画「きっと、うまくいく」、このブログの映画評へのアクセスも700近くになっているのですが、この映画のラストはまさにこのガラパゴス諸島のような自然の美しい地域に天才の主人公が住んでいて、そこにグローバルエリートになったライバルがやってくる、そこで、真の成功者がどちらかがわかるのですが(ネタバレすまん)、ここにはまさに、グローバルに対するガラパゴスの勝利があるように思います。ガラパゴスでもグローバルに稼げる才能があるからですが、それでも、この映画の魅力は、今盛んにもてはやされているグローバルエリートに対する批判、そして、それとは違う成功があるという希望であると思います。