2013年8月24日土曜日

おバカなカナダ映画、でも実話?

(ダグ・スミスについて間違いを書いてしまいましたので、訂正しました。)
ツタヤで、「俺たち喧嘩スケーター」というのを借りてきて見ました。
2011年のカナダ映画で、ジャケットを見ればすぐにアイスホッケーの話だとわかり、ホッケー・ファンとしてはこれは借りだと。
もちろん「俺たちフィギュアスケーター」に始まる「俺たち」シリーズとは何の関係もありません。
最初に、「実話に基づく」と出るのですが、原作はマイナーリーグで乱闘係として活躍したダグ・スミスという元ホッケー選手の自伝。(このダグ・スミス、調べてみたら、なんと、1980年代後半はバッファロー・セイバーズにいた元NHL選手、と思ったら、同姓同名の別人で、映画のダグ・スミスはマイナーリーガーでした)。
映画の主人公ダグ・スミスは原作同様マサチューセッツ州在住のアメリカ人。マイナーリーグのアイスホッケーを観戦中、選手とけんかになり、観客のダグが勝ってしまったことからチームに乱闘係として入団、そして、NHLのすぐ下のマイナーリーグに所属するカナダのチームからスカウトされます。最初に入ったチームはマイナーでもずっと下の方ですが、このチーム、カナダのハリファックス・ハイランダーズはNHLのすぐ下ということになっていて、実は、NHLの優秀な選手が敵のダーティなプレーで脳震盪を起こし、選手としてだめになり、NHLからこのマイナーチームに落ちてきていて、ダグはこの選手を守り、再起させるために雇われたのでした。
映画ではダグは最初はスケートもろくにできないとなっていて、いくらなんでもこれはどうかな、と思うのですが、他の部分も「スラップショット」並みの誇張が多く、シモネタも満載。名作「スラップショット」に比べるとちとおバカ映画な感じはぬぐえないのですが、ホッケー・シーンはリアルですばらしいです。なんというか、やっぱりカナダ、というか、ホッケーが好きで好きでしかたない人でないと作れない映画というか、だからホッケー・ファンは絶対見た方がいいと思えるのです。ドラマ部分のおバカとかは、ホッケー・ファンでない一般の人はつまらないでしょうが、ホッケー・ファン、特に北米の古きよき時代のホッケーが好きな人(「スラップショット」が楽しめる人でもある)なら必見です。
とにかく、北米ホッケー・ファンにはにやりとするシーンや言葉の連続なのですが、例のバーツージ事件をはじめ、NHLで起こった出来事をモデルにした話が入っていたり、敵役の選手の名前がセイバーズの乱闘係として活躍したロブ・レイに似ていたり、マザコンのゴーリーの名前がベルフォアのもじりだったりと、NHLファンならにやにやすること請け合い。おまけに、ララクやリッチがカメオ出演してますよ。
また、ホッケー選手を演じる俳優がみんな、ホッケー選手らしい顔をしています。特に主役の俳優がいい。メットかぶるといい男の典型。この主人公ダグが守ることになるケベコワ(フランス系カナダ人)の選手がいかにもケベコワの顔をしている(フランス系カナダ人が演じている)。
乱闘シーンやダーティなプレーはまあ、今のNHLでは少なくなったというか、やはり20世紀の時代の北米ホッケーですが、でも、知ってる人はにやりとするようなシーンの連続です。仲間を守る、そのための乱闘係、というのもよく出ていて、仲間同士の連帯感がけっこうつぼにはまります。
そんなわけで、シモネタとか、ちょっと寒いギャグもあるのですが、後半どんどん盛り上がって、プレーオフを賭けた試合が終了する前に映画は終わるけど、でも、見た人はちゃんとわかるよね、ってところがなんともいい味出しているのです。とにかく、北米ホッケー・ファンはDVD買ってもいい、と思える映画です。
が、しかし、さっきネットで調べたら、これ、DVD販売していないのか? アマゾンで見つかりません。ネットで無料で見られるそうですが、レンタルかネットで無料かのどちらかしかないのでしょうか? うーん、惜しい。売ってたら買うぞ。レンタルだと最初に25分も予告編があるのだもの。海外版を買うか。また、見た人の感想を検索すると、ホッケーを知らない人の感想ばかり出てくるので、ホッケー・ファンはぜひ見て感想を書いてください。