映画化で話題のマギー・オファーレル著「ハムネット」を読了。
なんか最初から乗れない世界だったんだけど、最後までなんだかなあだった。
題材的には面白いので、映画化の方が面白くなりそう。
小説の方もずいぶんと評価は高いんだけど、こういうのって、批判しにくい。
でもね。
読んでて、エリザベス朝のイギリスの田舎の物語に見えないのだよ。
なんか、20世紀の現代人の話に見える。
主人公、シェイクスピアの妻アグネスは薬草から薬を作って病気の人に与えたりしていて、何か超能力的なものも持っているのだけど、ファンタジーに登場するような魔女的な女性では全然ない。まあ、リアリズム小説だからそれでいいのだ、という意見もあるだろうけど、彼女が薬草を扱う何か普通と違う能力のある女性で、その彼女がその力で活躍するエピソードとかほとんどない。というのも、彼女と他人とのかかわりのエピソードが希薄で、ほとんど彼女と家族の話だからだ。だから、薬草を扱う特殊な人物である彼女、という存在はわりとどうでもいいみたいに見える。
要するに、彼女はシェイクスピアの妻であり、彼との間に生まれた3人の子どもの母であり、そのうちの1人が死んでしまい、というところがメインで、そこに作者が想像をふくらませてフィクションにしているのだが、それが面白いかっていうと、まあ、面白い人には面白いのでしょう、としか言いようがない。
物語の大部分がアグネスの心理描写で、たまに夫の心理が入ってくるが、アグネスの心理描写が、なんと言いますか、最近ブログ村でよく読んでいた中高年女性のブログ記事と似たり寄ったりの内容なのですよ。
もちろん、作家の作品なので、文学的なうまさとかはありますが、所詮は、ブログ村の中高年女性のブログに書いてあることと同じ、という感じが否めない。それを文学にしたからいいのだ、というのならそうなんだろうけど、うーん、でもこのレベルで、しかもシェイクスピアの妻という特殊な設定だから興味深いだけなんじゃないの? それに、ほとんどは作者の想像でしょ、と言いたくなる。
クライマックスの「ハムレット」上演のシーンだけは映画的な表現なのだが、映画的なだけに、映画に負ける、きっと映画の方がうまくやる、という気がする。
そこ以外は小説的ではあるのだけど、やっぱり、20世紀あたりの現代人の話にしか見えない、エリザベス朝の雰囲気が希薄、人物が現代人と大差ない、ってのはどうしても気になる。
これは翻訳のせいではなくて、作者自身がそういうふうに書いているようだ。
そもそも有名人にかこつけたフィクションって、安易に見えるものが多いと思うのだが、なぜか、世間での評価は高い。
映画はたぶん、映像でエリザベス朝のイギリスを見せてくれるだろうから、期待はできる。
さて、この「ハムネット」の映画化、アカデミー賞最有力みたいに紹介されて、それで原作が図書館でも多少、借り出されていたけど、日本公開は先なのでまだまだ話題にはなってないようだ。
その後、今度は「ワン・バトル・アフター・アナザー」の方がアカデミー賞最有力という話題が出てきた。こちらはピンチョンの「ヴァインランド」をヒントにしている(原作ではない)。
その「ヴァインランド」も図書館から借りてますが、こっちは長いのでなんとなく斜め読みになってしまってる。こちらは20世紀後半のアメリカの文化が目白押し、それどころか、日本も出てきて、タランティーノの世界みたい(タランティーノの方があとか?)。映画「ワン・バトル~」もタランティーノみたいだった。
Amazonからお借りした本の画像です。
「ハムネット」
「ヴァインランド」2009年に出た版(原書出版は1990年)。借りているのはこれ。
ピンチョン全集の「ヴァインランド」2011年出版。訳者は上と同じ。
「ワン・バトル~」は日本では全然ヒットしてないので、アカデミー賞最有力の宣伝を必死でしていたが、アカデミー賞の可能性はあるけど、日本ではアカデミー賞はもはや売りにならないのだ。
さて、昨日でWindows10のサポート終了となり、一応、セキュリティに関しては延長サポートがあるのだけど、これからは前ほど安全ではなくなるので、広告がうざいサイトはなるべく見ないようにしようと決意。中でもブログ村の広告はひどい。
最近、ブログ村の、特に中高年女性の日記をいくつも読んで、それが癖になってしまったのだが、人の私生活を野次馬根性でのぞく以上の価値はないものが多く、そういうものに時間をとられるのはいけない、と思いつつ、やめられなかった。
しかし、ブログ村は最近、大きな広告ばかり間にはさまり、その上、大きな音の出る広告が時々出てくる。これが深夜とかだと大迷惑。本当に読みたいブログはお気に入りに登録し、ブログ村で見つけて読んでいたのはもう読まないことにしようと思う。
ただ、ここで中高年女性の日記を読んでいたおかげで、「ハムネット」の違和感がわかったという利点はあった。
ブログ村の上位に出てくる人の多くはアドセンスで収入を得ている人で、そういう人のブログはやはり広告だらけ。そして、アクセスを絶やさないために毎日更新。他方、アドセンスなどやっていない人のブログはマイペースで、そういう人のブログの方が読む価値がある。惰性で毎日アクセスしていたアドセンスだらけの日記はほんとうにもう読むのをやめる。


