2024年5月28日火曜日

「関心領域」

 競馬場の写真ばかりあげてますが、金曜日はアカデミー賞国際長編賞受賞「関心領域」を見てきました。

原作がマーティン・エイミスだったので、しばらく前に翻訳がないか調べてみたら、ない。原書はかなり長そう。ということで、読むのはあきらめていたのだけど、映画に合わせて翻訳が出たようです。


映画は私好みで、よい作品でしたが、なぜか、あまり語りたいと思わない。

アウシュヴィッツ絶滅収容所所長のルドルフ・ヘスの一家が、収容所のすぐ隣に住んでいて、毎朝、ヘスは馬で収容所に出勤。一日中、焼却炉の音が響き、時々、銃声や叫び声もするのに、家族は全然気にしてない。それどころか、虐殺されたユダヤ人の残した服の品定めをしたり、子供は義歯で遊んでいたりする。

10年以上前に「縞模様のパジャマの少年」という映画が公開されて、そこでは絶滅収容所のそばに住む家族は、親は収容所の中のことを知っているけれど、子供は知らない。そして、息子が収容所に忍び込み、ユダヤ人の少年と仲良くなり、その結果、悲劇が、という内容。

「関心領域」も、子供は知らないのだろうか。その辺は映画ではわからなかった。ただ、「縞模様のパジャマの少年」は収容所に興味を持つが、「関心領域」の子供たちは持たない。その無関心が違う。

途中、召使の少女が夜に収容所にこっそりリンゴを届けるシーンが何度か挿入され、それが特殊なカメラで撮られたモノクロ映像で、そこに「ヘンゼルとグレーテル」の童話の朗読がかぶさる。それ以外はすべて、絵画のようなきれいな映像。「落下の解剖学」に主演したザンドラ・ヒュラーがこの映画ではヘスの妻を演じているが、「落下の解剖学」が俳優のアップなどで人物の心理を表現していたのに対し、この映画ではアップがあまりなく、引きの画面が多く、美術館で見る風景画のようで、人物の心理に迫らない。それが彼らの無関心を表現している。

ヘスが転勤になると、妻は、せっかく理想郷を築いたのにと言って、夫を単身赴任させる。ここが理想郷とは、と、こちらは愕然とするのだが。

人物のいる風景画のようなシーンのほかに、室内の狭さを表現するシーン、特に、両側に壁が迫る廊下のシーンが多い。ドアが正面にあるようなシーンもあって、彼らが狭い世界にいて、外の世界を知らないことを表現している。

ときおり、真っ赤や真っ黒になった画面におどろおどろしい音楽が大音響で流れる。ラストは終戦後のヘスの運命を暗示する。音響賞も受賞しているけれど、音響よりも映像が印象に残った。


映画に行く前、久々にブックオフに本やDVDを売りに行った。

4年前のガンダム・スタンプラリーの全駅達成でもらったガンプラも持って行った。手先が不器用で、プラモデルが苦手な私は、結局、作らなかったのだ。メルカリでは送料込みで2000円で売られていたので、ブックオフだと300円くらいかな、と思ったら、550円。数もたくさん出ているだろうし、マニア向けのガンプラではないので、このくらいでしょう。


それより驚いたのは、たくさん出ているハリウッド映画のDVD、以前は1枚50円だったのが、今は20円。ブルーレイの普及でDVDは安くなったのだろうか。値段がつかないと言われたのが2枚あったので、これは持って帰った。