2025年3月16日日曜日

「Flow」(ネタバレあり)

 雨の中、アカデミー賞受賞のラトビアのアニメ「Flow」を見てきた。


洪水で世界がどんどん水没していき、オンボロの帆船に乗り込んだ猫と犬(ラブラドルレトリバー)、カピバラ、ヘビクイワシ、ワオキツネザルがけんかしたり協力したりしながら漂流していく。

上野動物園に通ったおかげで、カピバラ(上野にはいないけど温泉に入るので有名だからわかった)、ヘビクイワシ、ワオキツネザル(どちらも上野にいる)は見てすぐに名前がわかった。公式サイトには動物名が出ていないのだね。

このほか巨大な鯨が登場し、洪水の世界のキーになるキャラクターになる。

とにかく絵作りがすばらしい。毛の1本1本がわかるCGとは違う、筆と絵の具で描いたような動物と、写真のような風景。よくぞこんな絵を、構図を思いつくよなあ、と感心するばかり。話も動物たちの冒険がエンタメとして楽しめるから、子どもが見てもわかりそう。芸術的なアニメかと思ったら、ストーリーはけっこうエンタメなのだ。

字幕とも吹替とも書いてなかったので、せりふがないのだな、と思ったら、まさに動物の鳴き声しか出てこない。それでも適度に擬人化されていて、動物たちに感情移入してしまう。

以下、ネタバレ。

大洪水で水没した世界からヘビクイワシがまるで火の鳥のように天に昇っていき、そのあと、水が一気に引いて、世界がまた姿を現す。なんで世界が洪水に飲まれ、そのあとまた水が引いてもとに戻るのか、その辺の説明がまるでないので、ここはストーリーのための設定で、それ以外の意味はないのか? あるいは、聖書のノアの箱舟のモチーフか? 世界を水没させるという設定がこれまでにもいくつかの映画やアニメにあって、ちょっと安易な設定では、と疑問に思わなくもない。

主役の猫は最初、黒猫かと思ったが、最後の方では灰色になっていて、この色の変化も気になる。「空海」の黒猫や「ルドルフとイッパイアッテナ」の黒猫を連想させる絵だった。全体のシルエットや動きは「空海」の猫で、眼の大きいかわいい顔立ちは「ルドルフ」だった。