2025年3月1日土曜日

大学非常勤講師あるある

 長年非常勤講師をしていて、昨年秋から任期つきの特任教授になった人のXを見て、うらやましいな、と思っていたのだけど、この人が、科研費を6,7年申請して却下され、その後、やっと申請が通るようになった、ということを書いていた。そして、却下されていた頃、「研究を遂行できる」という項目に複数の人が最低点をつけていたという。それで折れずに申請を続けたおかげで今があるのだろう。

これを見て最初に思ったのは、「研究を遂行できる」能力がないと見なされた理由は、非常勤講師だからだろう、ということだった。

この人は私より10歳かそこら若い人のようだが、私が大学院にいた頃は、大学の専任以外で非常勤講師をする人は、就職のための教育歴が必要な院生か、院卒の主婦だった。

当時は30歳くらいまでに就職できないとアウトだったので、それまでに大学に就職は無理と思った人は公務員や教員試験を受けて、そっちへ行った。

理系の場合は企業への就職もあるが、文系は公務員か教員しかなかったのだ。

そこで研究をあきらめずに、高校教師から大学教員になった人もいるが、たいていはあきらめた。

当時は非常勤講師をあちこちでやり、研究もして、というのはまずあり得なかったと思う。

なので、その当時は、非常勤講師だけの人が科研費をもらうなんてことは100%あり得なかっただろう。

ところが、ある時期から、非常勤講師をあちこちでやりながら研究を続ける人が出てきた。

それで、そういう人も科研費を申請するようになり、何度も落ちてから受かる、というようになったようだ。

しかし、私の時代の、大学の専任以外で非常勤講師をしている人は主婦のバイト、と見なされていた時代の感覚を持っている人はまだいると思う。そういう人は、科研費の申請で、非常勤講師は研究遂行能力がないと見なすだろう。

大学院時代、あるいはその後、私より明らかに研究者として劣っていると思う人が次々と就職(首都圏の有名大学に)、私は就職できなかった(地方の国立大を断ったせいだが)。私より劣っている人たちがその後。出世し、科研費の審査とか、論文の査読とかしているのだろうと思うと、とてもそれに応募する気にはなれなかった。今はもう、研究者としてはとっくに終わってるのでいいのだけどね。