2015年4月22日水曜日

これはひどい

スターリン時代のソ連を舞台にした犯罪ミステリーの映画化「チャイルド44」を見たのですが、

これはひどい。

原作好きな人は怒り心頭か茫然自失じゃないでしょうか?

もっともアマゾンのレビューを見ると、批判的な意見も少なくないですが、もともと原作を気に入らない人は映画も見ないので実害なし、と。

原作は読んでませんが(これよりモデルの事件のノンフィクション「子供たちは森に消えた」の方が読みたい)、アマゾンのレビューにはネタバレもあって、へえ、そうだったのか、でも映画にはそれはなかったけど、それがないとなんだか変だよねえ、もしかして、時間の関係でカットしちゃったのかしらん、て感じ。
監督はスウェーデン出身のダニエル・エスピノーサという人ですが、「裏切りのサーカス」の爪の垢を煎じて飲んだ方がいいレベル。
ひとことでいうと、スターリン時代のソ連がひたすら暗く汚く鈍重に描かれるあの映像がひどい。
映画というものはたとえ汚いスラム街を描くときでもそこに映像美や映像の凄みを出すべき、という、誰が言ったか忘れたが、それが映画というもの、映像というもの。スターリン時代が暗くて悲惨だったからといって、それをただ暗く汚く鈍重に描けばいいってものじゃない。そういうのはリアリズムとは言わない。
あとさあ、これだけじゃないんだけど、ハリウッド映画の描くロシア人(役者はロシア人ではない)のロシア語訛りの英語って、なんとかならんか。「硫黄島からの手紙」が全編、日本語訛りの英語だったらどうよ?
あと、主演のトム・ハーディって、小説家のトマス・ハーディからとったのか? それとも偶然?
このトム・ハーディが全然よくない。妻役のノオミ・ラパスもリスベット的女性じゃないというだけが取り柄。ゲイリー・オールドマンは可もなく不可もなし。ヴァンサン・カッセルは無駄遣い。
というわけで、公開はまだまだ先ですが、たまには辛口で行ってみました。