2016年6月11日土曜日

やっつけ仕事

ある映画本が誤字誤植変換ミスの山だというので、刷り直しが決定、購入者には希望により交換するという出来事があった。
どうも、以前あった、アインシュタインの伝記の機械翻訳みたいなことがまた起こったのだな、と私には思えた。
その本は最初に編集者の前口上があるらしいので、その編集者の企画なのかもしれない。
その出版社は最近、雑誌の過去記事を集めてムック本などを作っているところで、過去記事には原稿料を支払わないから、安くあげている本なのだろうなと、内心思っていた。
もしもその編集者の企画だとしたら、過去記事からテーマに沿って原稿を選び、新たなインタビューも加えて本を作るということを1人でやった可能性がある。
過去記事には古いものもある。それを自分でタイピングしたから誤字誤植変換ミスの山になったと想像されている。
でも、ちょっと待ってよ。スキャナーでスキャンしてテキストデータに変えるというソフトが素人向けのスキャナーにもついているんじゃないの? 少なくともそれをやってれば指摘されているような変換ミスは起こらないはず。
また、校正をしていないのだろうという指摘もある。あれだけのミスがあれば当然、校正はしていない。読み返すことさえしていないだろう。
タイピングや校正は人に任せて、と書いている人もいるが、過去記事で安く上げる本だからそんな人件費は出ないだろう。
編集者もこれにじっくり取り組むほどの報酬は得られないのかもしれない。
だが、結果的に、こういうミスの山の本を作り、発売から数日後にアマゾンのレビューで書かれてしまった以上、ほっかむりはできないので、刷り直しとなったのだが、大損である。
安く作るはずが逆に大損になったに違いない。
今のところ、アインシュタインの機械翻訳ほどには話題になっていないし、かばう人が多いというか、これだけのミスがあるのに絶賛のツイッターが出まくっていたというのもなんだけど。
なんというか、今、プロの出版がだめになっているのかなと思う。同人誌だってこんなことはない、というか、同人誌はみんな自分の原稿がきちんと活字になることにすごく神経質だから。
原稿に対するリスペクトが足りない。きびしいけど、そう言わせてもらう。つか、この出版社だけでなく、だいぶ前からそういうリスペクトがない出版社が増えていて、それで私は翻訳の仕事が続かなかったというのがある。翻訳は元の文章を書いた人を尊重しなければならないのだが、それを出版社に言ったりすると、うるさいやつと思われて仕事なくなるみたいな状態になったのだった。