2015年1月24日土曜日

またまたフランケンシュタイン

「フランケンシュタイン」については何度も書いているんですが(つか、解説書いた創元の翻訳書の宣伝が多い)、NHKが2月に教育テレビの「100分で名著」という番組で「フランケンシュタイン」をやるんですね。新潮文庫が12月末に翻訳を出したのはこれがねらいだったのか。
実は光文社文庫の方もNHKのラジオドラマ化で翻訳が使われたらしい。大手はみんな国営放送利用か。
しかし、この「100分で名著」の視聴者は原作を読むのだろうか、という疑問があります。そして、こういう入門書で入る人は読むとしても新潮文庫や光文社文庫の方を読むでしょう。創元はこの2つのせいでしばらく前から売れなくなってますが、創元を買うのはやっぱりマニアかな、と。

で、今日は別にこの話がメインではなくて、「フランケンシュタイン」にはイスラム教徒への差別がある、ということを、やはり書いておかないといけないかな、と思い、書いておくことにします。
「フランケンシュタイン」というと賞賛の嵐で、こういうところは触れられない。というより、私自身、これまで大学の授業で取り上げたとき、ここは隠していたのです。
当時はイスラム教徒やユダヤ人への差別はヨーロッパには普通にあり、シェイクスピアも「ヴェニスの商人」を書いているし、差別はいけないとか、そういう感覚が低かった時代でもありました。
「フランケンシュタイン」もイスラム教徒のある人物が悪い人として描かれているので、イスラム全体への差別とまでは言えないかもしれませんが、その人物の娘はキリスト教徒で、こちらはいい人になっていて、やっぱり差別だよな、と思わざるを得ないのです。
革命思想家を父に、フェミニズム運動家を母に持つメアリ・シェリーにもこういう面があったのかと、その辺、伝記的に見たらもっと詳しいことがわかるかもしれないので、これからの課題とします。

追記 具体的に言うと、イスラム教徒のある人物が差別と偏見から投獄され、その娘でキリスト教徒の女性を愛する男性とその一家が彼を助けようとしたが、そのせいで一家は亡命者にならざるを得なくなり、しかも、助けたイスラム教徒の男性には裏切られる、という内容です。一応、イスラム教徒への差別と偏見がある、という前提には触れています。もしかしたら、当時は差別と偏見に言及してもイスラム教徒を善にまで描けない、という風潮があったのかもしれません。