2015年2月23日月曜日

BL路線?

角川文庫の新訳「フランケンシュタイン」は25日発売とのことですが、アマゾンで表紙を見ると、なんとなくBL(ボーイズラブ)ふうなんですね。
実は角川はエラリー・クイーンの国名シリーズの新訳も順次出していて、この表紙がBLふう。
へえ、ほお、と思いながら表紙だけ見てましたが、「フランケンシュタイン」もこの路線か、と思ったとき、どうも最近、映画や舞台で取り上げられる「フランケンシュタイン」はわりとBLふうの路線に近いのかな、という気がしました(あくまで日本のBLふう路線ということで、同性愛やトランスジェンダーとはまた別と思いますが)。
たとえば、ベネディクト・カンバーバッチが主演した舞台の「フランケンシュタイン」について、BLふうというような感想がネットに出ていたりします。
また、「シャーロック」の演出家が監督する予定の映画、ボリス・カーロフの「フランケンシュタイン」のスピンオフの映画では、フランケンシュタインと助手のイゴールの友情を描くとかで、配役がジェームズ・マカヴォイとダニエル・ラドクリフ。これもBLふうに見えなくもありません。
また、これとは別に、メアリ・シェリーの恋を描く映画も今年撮影予定とのことで、こちらはメアリが詩人のパーシー・ビッシュ・シェリーと出会って恋に落ち、「フランケンシュタイン」を書くまでの話らしい。メアリ役はエル・ファニングで、監督も決まっていますが、ほかの配役は不明。実際にクランクインするまでは実現するかどうかはわかりませんが。
メアリ・シェリーが登場する映画といえば、古くは「フランケンシュタインの花嫁」、そして1980年代にケン・ラッセルの「ゴシック」とスペイン映画「幻の城」がありました。
いずれもジュネーヴのバイロンの別荘にメアリとシェリー、バイロンの恋人でメアリの異母妹クレア、バイロンの主治医ポリドリが集まって、怪奇小説を書こうという話になり、メアリが「フランケンシュタイン」を、ポリドリが「吸血鬼」を書いた、という実話にもとづいたもので、ボリス・カーロフの「フランケンシュタイン」の続編の「花嫁」では、冒頭で、メアリがシェリーとバイロンに前作の続きを話し始める、という設定になっています(メアリ役はエルザ・ランチェスター)。
「ゴシック」はケン・ラッセルらしい幻想的な映画になっていて、メアリ役はナターシャ・リチャードソン。バイロンがガブリエル・バーン、シェリーがジュリアン・サンズという配役。
「幻の城」は同じ題材を別の手法で描いたもので、メアリはリジー・マキナニーでしたが、映画の売りはバイロン役のヒュー・グラント。当時、グラントは「モーリス」に出た直後で、日本では大人気でしたが、日本以外ではまだ売れてなかったという、グラント自身、忘れたい過去のようです(BL人気だったので)。
ナターシャ・リチャードソンはトニー・リチャードソン監督とヴァネッサ・レッドグレイヴの娘で、のちにリーアム・ニーソンと結婚。幸せな家庭を築くものの、スキー事故で死亡という悲劇に見舞われた女優でした。ガブリエル・バーンやジュリアン・サンズもあの頃売り出していたけど、今、どうしてるのかな。バーンとともに「エクスカリバー」で名をあげたニーソンは今やハリウッドのアクション・スターだし、「眺めのいい部屋」でサンズと共演したダニエル・デイ・ルイスは今や偉大な俳優になっているし、ヒュー・グラントはコメディのスターになりましたが、あの頃、彼らはイギリスの美形スターとして、ちょっとBLふうの人気を得ていたのでした(当時はBLではなく、JUNEとか耽美とか言われていました。なつかしい時代だ)。