2017年12月16日土曜日

「ヴィクター・フランケンシュタイン」

アマゾンのサイバーマンデーで買ったダニエル・ラドクリフとジェームズ・マカヴォイ主演の「ヴィクター・フランケンシュタイン」のDVDを見た。
この映画のことはだいぶ前から知っていたが、あちらで公開されたらあまりに評判が悪く、これは日本公開はないなと思っていたら、やはりビデオスルーであった。
この映画はメアリ・シェリーの小説が原作ではないし、タイトルにも彼女の名前は出てこない。
ボリス・カーロフ主演の「フランケンシュタイン」が直接の元ネタで、ラドクリフ扮するイゴールというフランケンシュタインの助手はカーロフの映画には出てくるが、シェリーの原作には出てこない。
ただ、カーロフの映画とも相当に違っていて、舞台はロンドン。時代は電球が出てくるので19世紀末だろうか。
ラドクリフ扮するイゴールはサーカスでピエロをしているが、独学で医学を学び、医者のようなこともできる。サーカスを訪れたヴィクター・フランケンシュタイン(マカヴォイ)にその技術を認められ、助手になる。
フランケンシュタインは生命を生み出すことにとりつかれていて、チンパンジーの死体をもとにして動物を作るところまで行っている。
それにイゴールとフランケンシュタインを怪しんでつきまとう刑事や、フランケンシュタインのスポンサーの若い富豪、イゴールのあこがれの女性などがからんでくる。
映像はなかなか雰囲気あってよいんだけど、やっぱり評判悪いだけあって、あまり面白くない。
人造人間を造るところがクライマックスなので、怪物は最後しか出てこないし、2人につきまとう刑事とかうざいだけだし、話も平板。ラドクリフはかわいいので、ファンはぜひ見たいと思うだろうけど、最近クレイジーな役どころの多いマカヴォイはなんだかなあである。
カーロフの映画をもとにしているのは、怪物がちょっとカーロフっぽかったりするところに出ているが、実はカーロフの映画ではフランケンシュタインの名はヘンリーになっていた。この映画ではそれを取り入れて、ヘンリーという名のもう1人のフランケンシュタインがいることになっている(詳しくは映画をご覧あれ)。このヘンリーのことが最後の部分の肝になるはずなのだけど、これもうまく機能してないのだ。
怪物を造るシーンはケネス・ブラナーの「フランケンシュタイン」に似ているし、怪物を造る主人公の思いもブラナー版からとったようなところがある。カーロフ版とブラナー版から少しずつ拝借した作り。でも、そういうところより、せっかくイゴール出したんだからイゴールとフランケンシュタインの絆をもっとうまく描いてほしかった。
ところで、最近、「フランケンシュタイン」とかメアリ・シェリーとか映画の題材によくなっているようなのだけど、2018年が「フランケンシュタイン」出版200周年であることに気づいた。それが関係しているのかどうか?