2015年3月7日土曜日

「バリー・リンドン」の思い出

本日7日からスタンリー・キューブリック監督の4作品が上映されるとのこと。
作品は「時計じかけのオレンジ」、「バリー・リンドン」、「フルメタル・ジャケット」、「アイズ・ワイド・シャット」の4作品。
このうち、「アイズ・ワイド・シャット」はキネ旬の特集で書かせてもらった作品。しかも、これは試写当日に突然、電話が入り、これから試写に行けるかと聞かれ、もちろん、「行けます!」と答えて、試写を見て書いた作品だった。
この「アイズ・ワイド・シャット」も好きな作品だけど、キューブリックの映画で私が一番好きなのは「バリー・リンドン」。
なんといっても、私が英文学者をめざすきっかけになった映画。これがなければ「バリー・リンドン」の原作者サッカレーについて研究して大学院へ進むこともなく、「フランケンシュタイン」の解説を書くこともなく、E・M・フォースターを研究してその映画化で次々と仕事をすることもなかったはず。
そう、キューブリックの「バリー・リンドン」が私の原点なのだ。
それは1976年、「バリー・リンドン」が劇場公開され、それを見た私は原作者サッカレーに興味を持った。最初に読んだのは角川文庫から出た原作の翻訳。これは原作の単行本の翻訳だったのだが、その後、洋書店で、単行本になる前の雑誌連載の原稿をまとめた本に出会った。
この単行本と雑誌連載の違いが面白く、しかも、キューブリックの映画は雑誌連載の方をもとにしているのが明らかだった。
このあたりのことは当時、映画仲間とやっていた同人誌に書いたが、これがきっかけで私は卒論のテーマにサッカレーを選び、代表作「虚栄の市」などを読んだ。
正直、「バリー・リンドン」の第一人者は、少なくとも日本では私だ、という自負はある。が、悲しいかな、英文学の世界で地位を得られなかった私はいまだに「バリー・リンドン」で仕事をしていない。今回のリバイバルでもできれば「バリー・リンドン」についてどこかで書きたかったが、無名の私にはなすすべもない。
もちろん、ネットでならいくらでも書けるし、それを読んでくれる人もいるだろう。
「バリー・リンドン」について、何も残さずに終わりたくない。今はただそう思っている。