2016年4月30日土曜日

「真夏の夜の夢」(1935年版)

「レヴェナント」をシネコンで見たあと、ショッピングセンターなどを見ていたら、特設会場でCDとDVDを売っていた。数年前に出たらしいシェイクスピアの映画化作品のDVDがあり、1枚500円くらい。その中にはるか昔、テレビの深夜放送で見た「真夏の夜の夢」があった。ジェームズ・キャグニーやオリヴィア・デ・ハヴィランド、ミッキー・ルーニーなどが出演のワーナー映画で、ずっと見たいと思っていたので、ローレンス・オリヴィエ主演のイギリス映画「お気に召すまま」と一緒に買った。
テレビの深夜放送で見たのは1960年代末で、90分枠だったから相当カットされていたはず。でも、幻想的な映像とメンデルスゾーンの音楽に魅せられた。「真夏の夜の夢」は20世紀末にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの映画や、ケヴィン・クライン主演のハリウッド映画を見たが、この1935年のワーナー映画が一番好きだった。
初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされたシェイクスピアの映画化とのことで、今見ても映像のすばらしさに驚かされる。1939年の「オズの魔法使」も創意工夫の映像にびっくりさせられるのだが、このモノクロの「真夏の夜の夢」も幻想的な映像の数々に惹きつけられる。
メンデルスゾーンが書いた劇音楽「真夏の夜の夢」をふんだんに使い、さらにメンデルスゾーンの有名な「春の歌」も入っている。ミュージカル仕立てで、歌のうまい俳優を使っている。ミュージカル「ヤンキー・ドゥードル・ダンディ」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したキャグニーも歌を披露。ギャング役者として有名だったキャグニーがここで少しミュージカル俳優の本領発揮したというところか。映画初出演のオリヴィア・デ・ハヴィランドは映画のもとになった劇で同じ役を演じたというが、新人らしからぬ貫録がすでにある。このあと、彼女は「ロビン・フッドの冒険」のヒロインを経て、「風と共に去りぬ」のメラニーとなり、そして、2度のアカデミー賞受賞となる。
シェイクスピアで、ミュージカル仕立てということで、シェイクスピア劇らしい役者、歌のうまい役者を使っているが、オベロン役のヴィクター・ジョリーのセリフまわしがいかにもシェイクスピアで聞き惚れた。バレエシーンもすばらしい。ミッキー・ルーニーのやたらテンションの高いパックは記憶どおりだった。メンデルスゾーンの音楽をコルンゴルドが編曲てのも豪華。
133分なので、昔のテレビ放送では半分くらいカットされていたのではないかと思うが、最後のピラマスとシスビーの劇(「ロミオとジュリエット」のような悲劇が、役者の演技で喜劇になってしまう)は丸ごとカットされていた。今回初めて見て、キャグニーのピラマスとジョー・E・ブラウンのシスビーのかけあいに笑ってしまった。シスビーは女性だが、シェイクスピアの時代は女優がいなかったので(「恋におちたシェイックスピアに描かれたように)、シスビーを男性が演じるのだが、大口で有名だったブラウンのシスビーというのがいい。
幻想的なシーンも、恋人たちの騒動も、そして最後のドタバタ芝居も、本当に楽しかった。役者は知らない人もけっこういたが、みな実力のある俳優のようだった。
ずっと昔に見たきりの映画を、こんな形で完全版で見られるとは、本当に幸運だった。シネコンの帰りにふらっと立ち寄った場所で見つけたので、ラッキーだったとしか言いようがない。