2020年10月28日水曜日

「朝が来る」&「鬼滅の刃」

 興味はあるけどそんなに見る気はしていなかった「朝が来る」と、漫画原作でテレビアニメの映画化で、全体の途中の部分でしかないらしいからまったく見る気がなかった「鬼滅の刃」を、急に思い立ってTOHO船橋でハシゴ。お気に入りのスクリーンのお気に入りの席が空いていたというだけの理由で。



1階外のピカチュウ。

実は「朝が来る」と「スパイの妻」と「空に住む」は試写状をいただいていて、どれも見たかったけれど、2月以降、試写に行かないでいるので、見るなら映画館、という気持ちだった。で、「スパイの妻」は非常に見たかったのだが、あと2本はどうかな、という感じ。
「空に住む」はタワマンに住む若い女性の話、と聞いて、うーん、それはパス、と思い、「朝が来る」は内容的に興味があり、どっちかに行くなら「朝が来る」だった。
が、「朝が来る」も湾岸のタワマンの上層階に住む裕福な夫婦が主人公だった。おいおい。
私は河瀬直美の映画がどうも苦手なのだが、この映画でも特別養子縁組についての解説のようなシーンがひたすら苦手で、回想シーンを入れていく手際もどうも違和感がある。しかも、養子をもらえるのは裕福で、夫婦の片方が仕事をやめて育児に専念できる、恵まれた人たちなんだということが描かれ、まあ、子どものことを考えたら当然なんだろうけど、やっぱり養子を育てるなんていうのは上級国民のぜいたくなのか、と思ってしまい、げんなりした。
ところが、後半、子どもを養子に出した側の女性の話になると、養子に出す側の女性たちは貧しかったり、家族に恵まれなかったり、風俗で働くしかなかったりと、裕福な夫婦とは正反対の女性たちであることが描かれる。結局、裕福な人たちは欲しいもの(養子)が手に入る、みたいなせりふもあり、養子を出す方ともらう方の2つの世界の大きな格差をドラマチックに描くこの後半部分は非常に見ごたえがあった。役者の演技もいい。

とんでもないメガヒットになっている「鬼滅の刃 無限列車編」。映画が始まってすぐ、ああ、これは新海誠や京都アニメーションとはまったく違う世界だな、とわかった。この手のアニメはまずもって見ない人間なのだ。なんつうか、静止画が目についたり、口が動いているだけだったり、ギャグシーンのキャラの顔の変化とか。でも、これはそういう世界のアニメなので、別に文句はない。それに、予備知識とかほとんどなかったのに、かなり面白かった。話がよくできているし、登場人物のせりふが泣かせるし、教育的にもいいことを言っているので、これなら親が子どもを連れていくのもわかる。最後、カラスが泣きながら飛んでいくのは、煉獄さんのカラスだからなのね、とエンドロールで初めてわかったりするような初心者だけど、あまり問題なく楽しめた。
主人公たちが強すぎて、鬼が全然怖くないのと、主人公たちはよい家族に恵まれていて、それで教育的にすばらしい考えの持ち主に育ったようなので、「朝が来る」の家族に恵まれなかった少女のような人はこの世界では鬼に利用されちゃうだけなのかな、と思ったのが欠点といえば欠点かな。よい家族や仲間に恵まれ、強さと才能を持ち、それを弱い者のために使うべき、と信じる立派な主人公たちなんだよね。鬼はそういう主人公たちを揺さぶって悪の側に来させようとしているのだけど、それに抵抗する主人公たちのせりふが実にまっとうで正しくて教育的に非常によろしいのです(ほめてます)。
まあ、私が子どもの頃に見ていたアニメ(「鉄腕アトム」とか「鉄人28号」とか)の主人公も基本的にはそういう感じだったからね。