2012年3月9日金曜日

インド映画「ロボット」(ネタバレあり)

話題のインド映画「ロボット」を見てきました。
 「ムトゥ踊るマハラジャ」のラジニカーント主演、インド映画だからロボットも歌って踊る。ついでに香港映画のようなアクション・シーンに、ハリウッド仕込みの特撮。
 面白かったです。古くからのロボットものや人造人間ものの総集編のような趣で、もちろん「フランケンシュタイン」も入ってるし、アシモフのロボット工学の三原則もセリフにあるし、主人公の博士が自分にそっくりのロボットを作るのはアシモフの「鋼鉄都市」だし、ほかにも「鉄腕アトム」とかアニメや漫画や小説や映画(特にアシモフ原作の「アイ・ロボット」)、いろいろ入ってるまさにロボットものの総集編。しかも、インドの娯楽映画だから、ハリウッド映画にもよくある「フランケンシュタイン」テーマの教訓とかまるでなし。歌って踊ってアクションやって、人がたくさん死ぬけどそんなのみんな忘れて、全部お笑いにして終わるという映画。すごいし、面白すぎる。
 でも、この映画、去年、東京映画祭で上映されていて、そのときのはインド公開のオリジナル版3時間の映画だったのだけど、今回、劇場公開されるのは日本版139分なのだそうです。
 試写はブルーレイによる試写でした。マスコミ向け試写の中には時々DVDによる試写があって、これがものすごく画質が悪く、もうがっくりなのですが、さすがブルーレイ。きれいです。ブルーレイって、こんなにきれいなのか、と、私もブルーレイのプレーヤー購入を考え始めたくらいです。
 で、映画の方なんですが、内容が盛りだくさんで、映画2本分くらいの内容です。なので、やはり、オリジナルの3時間で見るのが正しいのだろうと思います。途中休憩が入って、じっくりゆったり見るのが正解なんだろうな。日本ではシネコンを中心とする拡大興行では、インド映画で3時間ではむずかしいということで、プロデューサーと相談の上、日本版139分を製作したようですが、なんで日本は融通がきかないんだろうねえ。140分前後というのは最近のハリウッド大作の上映時間で、なんでもそれに合わせるという…。
 というわけで、やっぱり3時間のが見たかった、と、見たあと思ったのですが、内容はある種の3部構成で、博士が自分にそっくりのロボットを作るが、感情もなく、道徳的な判断もできないただの機械、というのが第1部、それで今度はロボットに感情を入れる(「フランケンシュタイン」のように、雷がきっかけになる)、すると、ロボットは博士の恋人に恋してしまう、というのが第2部、そして、博士の恋人にふられ、破壊されて捨てられたロボットが、悪の博士の手に渡り、破壊の神として殺人と破壊を繰り返すようになるのが第3部。こんな感じです(3つに分けたのは私で、実際は、ロボットが博士の恋人に恋したあたりで休憩になります)。
 最後の、破壊の神と化したロボットが殺戮の限りを尽くすアクション・シーンがすごいのですが、いかにもインド映画の、ロボットと美女が歌って踊るシーンもいいんですよね。もしかして、カットされたのはこういうシーンだろうか。
 博士の恋人に恋したロボットが、博士と彼女の両方に袖にされて、破壊されて捨てられ、その後、悪の博士によって破壊の神に作り変えられ、殺戮の限りを尽くす、というあたりはやはり「フランケンシュタイン」のモチーフに近いです。「フランケンシュタイン」の怪物も、人間らしい感情を持ってしまい、人の愛情を求めて得られず、殺人鬼と化してしまうからです。
 でも、この映画は「フランケンシュタイン」のようなマジメなテーマにはならず、破壊の神と化したロボットがなぜかキム・ジョンイルに似ていたりして(眼鏡がサングラスなんで、ブルース・ブラザースふうかもしれないけど)、そのジョンイルふうロボットが自分の分身を大量に作って、ロボットの集合体となって襲ってくるんですね。日本のアニメのパクリだという意見もありますが、私の記憶では、ロボットが集合体となるというのは「鉄腕アトム」が最初だと思います。
 ストーリーの方はもう突っ込みどころ満載で、ロボットを軍隊にしようとした主人公の博士は悪くないのか、とか、人助けをしたり、愛に目覚めて戦争を否定するロボットが、そのあと、悪の博士のせいで破壊の神になってしまって、ロボットは人間しだいとはいえ、いくらなんでも飛躍しすぎ、とか思うのですが、そういう細かいところなんかどうでもいい、最初に書いたように、2本の映画を一気に見てるような映画なんです。深いテーマもないし、日本人が好きな悲しみとかもあまりないし、でも、細かいことなんか気にしないで、とにかく、楽しめばいいんですね。
 それにしても、インドのスーパースター、ラジニカーントはもう還暦すぎてるのか。そんな年とは思えない若々しさでやってますが、博士とロボットの2役で、特にロボットの方の演技がバラエティに富んでいて面白いです。ヒロイン役はもちろん美人(でも、そんなに若い人ではないんだ)。