2012年3月28日水曜日

ケベックのある小学校の物語

東京に帰ってきてから初の試写に。
 午後は荻上直子監督の新作「レンタネコ」。猫はかわいいんですが、話自体は別に新しくもユニークでもなく、途中で眠くなってしまいました。前作「トイレット」も面白くなかったし、最近、ボルテージが下がってる感のある荻上監督です。
 そして夜はアカデミー賞外国語映画賞候補になったカナダの「ぼくたちのムッシュ・ラザール」。カナダはケベック州がフランス語圏で、ここから多数の有名なホッケー選手が出ているのですが、フランス語の映画製作も盛んで、外国語映画賞受賞の「みなさん、さようなら。」もそうだし、昨年は「灼熱の魂」がノミネートされていました。
 「ぼくたちのムッシュ・ラザール」は、小学校の教室で女性教師が首吊り自殺し、その教師の後任としてアルジェリア難民のラザールという中年男が教師になるという話。原作は舞台劇だそうですが、「灼熱の魂」も原作は舞台劇でした。
 ラザールは実は元教師でもなく、カナダの永住権もなく、難民申請している最中なのですが、アルジェリアで教師をしていて、永住権もあると嘘をついて教師になります。そこで、女性教師自殺で心に傷を負った子供たちと向き合うのですが、ここで描かれる学校の実情というのが、けっこう日本と共通するものがある。この学校の先生たちは子供に対して、まるで腫れ物に触るように接していて、教師自殺事件についても触れないようにしています。それに対し、ラザール先生は自殺事件について子供たちが作文を書いたり、発言したりするのを積極的に受け入れます。他の先生が触らないように、触らないようにしているのに対し、ラザール先生は積極的に踏み込んでいくのです。
 この学校、というか、カナダの学校全体がそうなのかもしれませんが、学校では先生が生徒と肉体的に接触することを極力避けるようにするという方針をとっています。なので、軽くたたいたりするのはもちろんだめ、先生と生徒がハグするのもだめ。とにかく触らない、肉体的にも精神的にも。
 女性教師の自殺も、教師が生徒に同情してハグしようとしたのが原因らしい。
 欧米人というと、キスとか、肉体的な接触が日本人より盛んな気がしていましたが、この映画を見て、あちらも学校現場では触らないように触らないようにしてるのか、と驚きました。教師の自殺についても、なかったことにしようとしているあたり、日本と変わらないな、と。
 映画の中で、女子生徒が、「傷ついているのは自分たちよりも大人の方だ」というのが印象的です。
 「灼熱の魂」の主人公たちは中東出身でしたが、この映画でも生徒たちの中には南米チリ出身者もいるし、ラザール先生のようにイスラム圏出身者もいて、移民の多いカナダならではです。
 ラストはなぜか、「レンタネコ」に似ているような…。「レンタネコ」がまねしたのかどうか知りませんが、どちらもハグで、「レンタネコ」は右と左から(というより、片方がハグから逃げる)、この映画は手前と向こうから、と方向性が違ってますが。そして、そのあと、画面が真っ暗になって終わるあたりも。

 カナダ映画らしく、子供たちがホッケーするシーンも出てきました。
 ホッケーといえば、前の記事でデレクの大学のチームがフローズン・フォーに出場、と間違えて書いてしまいましたが、フローズン・フォー出場を決めるファイナルに出場が正しく、そのファイナルで敗れてしまい、今季は出場ならず、2連覇もならず、となったようです。その記事の中でも訂正を入れておきました。というわけで、ただ今ポイントでは8位のキャピタルズと並びながら他の条件で9位のセイバーズがプレーオフに出れなければ、私のシーズンはもうすぐ終了してしまいます。