2013年1月25日金曜日

アンナ・カレーニナ

トルストイの小説「戦争と平和」は高校時代に完読した。これを完読していたおかげで、大学時代にサッカレーを研究したとき、「虚栄の市」と「戦争と平和」を比較することができた。いわば、私の英文学の原点の1つが、ロシア文学の「戦争と平和」だったのだ。
が、トルストイの「アンナ・カレーニナ」は、まだ読んだことがない。なんといっても、ロシア文学は長い。だから、なかなか読めないのだ(言い訳です)。
その「アンナ・カレーニナ」の最新の映画化を試写で見てきました。「プライドと偏見」の監督と主演のコンビ、脚本は劇作家のトム・ストッパード、ということで、舞台劇のような様式美にあふれた映画でした。
で、例のRotten Tomatoesでの評価はどうかと言いますと、これが、批評家の方はかろうじて60パーセントを超えて、赤いトマトになってますが、一般人の評価は60パーセントに満たず、倒れたポップコーンの容器になっています。
確かに微妙ですね。舞台劇のような様式美を評価するかどうかが分かれ目だと思います。
原作を読んでないので、なんともいえないのですが、「戦争と平和」を読んだ者としての感想は、社交界で孤立していくヒロインと、田舎の農民として生きていくカップルの対比が興味深かったです。
トルストイは「戦争と平和」でも、人工的な世界の貴族社会とロシアの大地に生きる農民の世界を対比して、自然に生きる人々に希望を見出していましたが、この映画でも、社交界に生きるアンナやその愛人や夫よりも、ロシアの大地に根を下ろす若いカップルに希望を見出すような描き方をしています。
この映画を評価するとしたら、おそらく、このロシアに根を下ろす若いカップル、娼婦上がりの女性を差別せず、彼女と結婚した義兄を世話する女性の姿と、不倫ゆえに社交界で孤立するアンナを対比した部分を評価することになるでしょう。
アンナのロマンチックな愛を描く映画ではないこの映画、そこをどう評価するかにかかっている気がします。