2013年8月31日土曜日

恋するリベラーチェ

マイケル・ダグラスとマット・デイモンがゲイのカップルを演じ、監督はスティーヴン・ソダーバーグ、共演はダン・エイクロイド、ロブ・ロウ、デビー・レイノルズと、超豪華なこの映画、実はアメリカではテレビ映画として放映されたのだそうだ。
テレビ映画とはいっても、劇場公開映画と同じくらいお金がかかっていて、ただ最初と最後が劇場用映画に比べてちょっと雰囲気が違う(冒頭があっさりしていて、エンドクレジットがしつこくない。ミニチュアのピアノをいくつも使ったおしゃれなエンドクレジットがいい)。でも、内容はしっかりしていて、RottenTomatoesでは批評家の評価は94パーセントフレッシュと、異様に高い評価を得ている。
なんでテレビ映画になったのかというと、この企画、5年くらい前にはすでにダグラスとデイモンの主演が決まっていたのに、内容が「ゲイすぎる」ということで出資者が現れず、結局、有料テレビ放送のHBOが製作に乗り出したとのこと。カンヌ映画祭のコンペに出品され、ダグラス扮するリベラーチェの犬がパルム・ドッグ賞を受賞。アメリカ以外の国では劇場公開、ということで、日本では11月公開予定。
「ゲイすぎる」とはいっても、別にハードなシーンがあるわけではなく、50年代から70年代にエンターテイナー・ピアニストとして活躍したリベラーチェの最後の10年、77年から亡くなるまでを描いている。この10年間のうち、5年間を共にしたのがスコット・ソーソンという青年(デイモン)で、このスコットの書いた本をもとにしている。
リベラーチェはアメリカでは自分の名前を冠したテレビ番組も持っていたくらいの有名人だそうで、アカデミー賞にもプレゼンターとして出演していたそうな。私はまったく知らなかった。
ゲイであることをひたかくしにしていたリベラーチェだが、その私生活は若い恋人を次々と取替え、召使にも元恋人みたいな人がいて、スコットはバイセクシュアルとのことでわりと男っぽいのだが、リベラーチェや召使はいわゆる「オカマ」と言われるようなわりと女っぽいタイプ。この女っぽいタイプのゲイをマイケル・ダグラスが絶妙な演技で演じている。ダグラスは最初は二枚目俳優で出ていたが、「ウォール街」で悪役を演じてイメージが変わったけれど、この映画ではまた別のイメージが加わった感じで、すでに父親を超えているかもだ。
ダグラスは「カッコーの巣の上で」で若くして製作者として成功、アカデミー賞作品賞を受賞したが、俳優としてはまだ映画では活躍しておらず、製作した「チャイナ・シンドローム」では主演のジェーン・フォンダ、ジャック・レモンに比べるとだいぶ格下だったので、自分が主演することなど考えもせず、別のスターを配役した。ところが、そのスターが直前になって降りてしまい、かわりに自分が主演することになったのだそうだ。この映画がきっかけで、ダグラスは映画スターとしての地位を築く。
「恋するリベラーチェ」ではリベラーチェがアカデミー賞授賞式にプレゼンターとして出演する話が出てきて、このときはジェーン・フォンダが父ヘンリー・フォンダと共演した「黄昏」が話題になっていて、リベラーチェがジェーンについて話すあたりが「チャイナ・シンドローム」を思い出しながら見ると面白い。「チャイナ・シンドローム」の頃、ダグラスとジェーンは社会活動家として有名だったのだ。
若い恋人役のマット・デイモンも好演している。最初に登場する頃は本当に若い、美少年という感じで、最後は大人になった顔に変化している。ラスト、リベラーチェの葬式で彼が夢想するリベラーチェの華麗な舞台、そこで「ラマンチャの男」の見果てぬ夢を歌うリベラーチェのシーンがすばらしい。リベラーチェのショーのシーンをもっと見たかったと思う。
なお、この映画は作曲家マーヴィン・ハムリッシュの遺作となった。
(画像はRottenTomatoesより)