2014年2月4日火曜日

訃報と遺作

フィリップ・シーモア・ホフマンが薬物で死亡したというニュースを見て、驚いているというか、たまたま昨日、20年ほど前に薬物で急逝したリヴァー・フェニックスの遺作「ダークブラッド」を見てきたところだったので、ハリウッドの暗部をまた見てしまったような気分。
「ダークブラッド」は完成前にリヴァーが急死してしまったため、撮影中止になっていた作品で、監督のジョルジュ・スルイツアーがフィルムを保管していたが、その監督が病に倒れ、もう長く生きられないかもしれないと思い、完成させることにしたのだそうだ。
かつて核実験が行われていたアメリカ南西部の砂漠で、車がエンコしたハリウッドの俳優夫婦が先住民の血を引く青年の家にたどり着く。妻に強くひきつけられた青年は夫婦を帰そうとはせず、3人の間に葛藤が生まれる。リヴァー・フェニックスは髪を黒く染め、金髪の美少年とはまったくイメージの違う精悍な、それでいて繊細で謎めいた魅力の若者を演じている。夫婦の役はジョナサン・プライスとジュディ・デイヴィス。
映画はリヴァーとデイヴィスのからみのシーンを後回しにしていたため、結果的にこの肝心のシーンがいくつも未撮影のまま終わってしまった。監督はそのシーンについてはナレーションで補っているが、やはり大事なシーンがいくつもないというのは痛い。それでも、ラストの重要なシークエンスは撮影されていて、ここが見ごたえがあるので、映画としての筋は通っている。また、昨年亡くなったカレン・ブラックがカメオ出演している。