2017年4月19日水曜日

稼げるナントカ、稼げないナントカ

しばらく読みに行っていなかったあるブログをふと思い出して、主さん、どうしてるのかな、と思い、久々に見に行ってみたら、興味深いサイトを紹介していた。
そのブログで紹介されていた記事はこれです。
https://kase2.jp/13042017/2303.html
「『正確でわかりやすい通訳を心がけています』←どうでもいい」

ブログ主さんはわりとまじめに、通訳者としての技能のさまざまなレベルについて考察されていましたが、私が感じたのはマーケティング。
誰もが言うことを言っていたのではあなたは仕事もらえないよ、というのがこの記事のテーマ。
記事の著者は酒井さんという方のようですが、この方の他の記事を読むと、マーケティングについての話がいっぱい。

https://kase2.jp/15042017/2331.html
「「今日は来るつもりなかったのになあ~」というお客であふれる居酒屋の理由」
お客さんにリピートされている居酒屋に対し、リピートされない店はなぜそうなるのか。
答は、「忘れられている」
うっわー、直球。ど真ん中。
誰に仕事頼もうかなあ、と思ったとき、頼まれるのは思い出される人。
忘れられている人には永遠に仕事は来ません。
だから忘れられないように常にアプローチが大切ということですね。
営業とも言います。

https://kase2.jp/11042017/2297.html
「仲の良い通訳コーディネータが退職したら仕事が来なくなった…」
これは通訳以外でもたくさんあるでしょう。編集者がやめたら、異動したら仕事が来なくなった、とか、私も何度も経験あります。

一番上の記事を最初に見たとき、目に入ったのは、「稼げる通訳者育成」というサイトのサブタイトル。
「稼げる通訳者」ということは、「稼げない通訳者」がいるんだ、と、考えてみれば当然のことを知りました。
「稼げない翻訳者」、「稼げない研究者」もいますね(どちらも私のことだ)。
つまり、通訳者も翻訳者も研究者も供給過剰で、仕事にあぶれている人がいるわけです。
しかも、あぶれている人は能力が劣るわけではない(という前提)。
本当に能力が劣る人はやめた方がいいわけですが、能力があるのに仕事が取れない人のためのマーケティング教室ってことでおk?

昔は通訳者も翻訳者も研究者もなりたい人が少なかったし、それで食えないなら転職してたと思いますが(翻訳は会社員のかたわらやっていて、仕事が増えたら独立というケースもよくあったみたい)、今は大量の通訳者、翻訳者、研究者が学校や大学院から次々と生まれていて、だから稼げない通訳者、翻訳者、研究者が出てくるっつうか、稼げない人の方が多い?
研究者の場合、非常勤で生活したら研究する時間がなくなる、つまり研究者じゃなくなってしまうので、非常勤で食えていてももはや研究者としては終わってる人が少なくないのではと思います。第一、非常勤の人は金がないから研究書を買えない、学会へ行く旅費も自腹なので行けなくなる、それどころか、学会の会費がばかにならないので学会もやめる、という具合に、金がなければ研究できない世界なのです。
通訳、翻訳も、小さいパイを大勢で奪い合っている状態のようで、上のマーケティングやってれば誰でもうまく行くわけではないというか、最初の記事のように、他の人と同じではだめなのでしょう。
たとえば出版翻訳だと、持ち込んだ本がことごとく売れるとか、そういう翻訳家が実際にいるのです。だいぶ前に私が行っていた大学のドイツ語の非常勤講師をしていた人がそうでした。
そのくらい違わないとだめってことで、なかなか大変な世界だと思います。あとはやはり3番目の記事にあるような人脈作りでしょう。