2020年7月16日木曜日

久しぶりに都心の繁華街を歩く

上野動物園や西洋美術館は都心とはいえ、繁華街とは違うので、最後に都心の繁華街へ行ったのは3月の池袋のグランドシネマサンシャイン。
都心自体が上野周辺しか行っていないのだけど、昨日は久々、上野・御徒町間を歩いてTOHOシネマズ上野へ。

最近は上野動物園の整理券を予約して出かけているのだけど、気になっていた映画「WAVES ウェイブス」をTOHO上野でやっていることを知り、なら上野動物園とセットで行ける、TOHOは次、無料だし、ということで出かけた。

上野動物園はまだこれからも予約してるので、パンダと猿山だけ見て御徒町に移動、と思ったら、猿山が見てるだけで楽しくて、雨の中、傘もささずにカメラにタオルハンカチ載せて写真を撮っていて、気づいたらぎりぎり。あわてて弁天門から御徒町へ向かって歩く。

アメ横周辺は混んでいたが、映画館はやっぱり閑散。

TOHO上野は松坂屋の新館だった場所に新しくできたパルコヤの上にあるのだけど、帰りはパルコヤから松坂屋の7階に通路を渡って行こうとしたら、松坂屋の入口で検問があった。検温して、消毒液も手につけないといけない。中も、エスカレーターが前の人と2段開けて1列で、とか、きびしい。ショッピングセンターなどとはだいぶ違う。隣のパルコヤはそういうことは何もなかったけど、もしかして、パルコヤから来る客を警戒?
催事場で保存食品バーゲンをやっていたので、衝動買い。会場はガラガラだけど、レジがまた消毒その他で時間がかかり、すいているのに待つ。買い物してもデパートの袋に入れてくれないのって、やっぱり寂しい。でも、スーパーなどは「袋ご入用ですか」と聞くのに対し、ここは「エコバッグをお持ちですか」だった。これだと「はい」と答えるので、「いいえ」より気分的にいい。
これ、おいしいといいな。

さて、「ウェイブス」ですが、後半、眠くなってしまった。
この監督、前作が「夜来るとかいって何も来ない、金返せ」と観客から不評だった某ホラー映画で、批評家の評判は逆に非常によく、ブログで分析している文章を読んだら、なかなか深いものがある作品のようだったけど、しばらく前からホラーが全然見れなくなっているので見なかった。
「ウェイブス」はロッテントマトだと批評家にも観客にも評判がいい。
前半は胸が痛くなるような展開で、描写もどこかホラー的な緊張感のある内容だったのだが、後半が逆にその緊張感がまったくなくなり、しかも救済のドラマがあまりにも平凡なので、眠くなってしまったのだ。
確かに前半は非常に優れている。
黒人と白人がほぼ同数で、人種差別も特になさそうなフロリダの町(中絶反対派の女性たちがレイシストに描かれているが、他はまったくそういうことはない)。
主人公タイラーは将来有望なレスリング選手の高校生。ピアノもある黒人の中流家庭で、両親は仲睦まじく、妹とも仲がいい。しかし、タイラーは孤独だ。その孤独がひしひしと伝わってきて、見ているのがつらいくらいだった。
彼の孤独がはっきりするのは、肩を痛めてレスリングができなくなり、その上、妊娠した白人の恋人が産みたいと言い出したときだ。
かっとなってすぐに怒るタイラーは人との対話ができない。なので、恋人も、彼とはやっていけないと見切りをつけてしまう。出産については両親が理解し、支えてくれる、という。
医者からすぐに手術が必要だと言われたとき、恋人から子供を産むと言われたとき、タイラーは誰にも相談できない。父親はレスリング選手としての彼に過剰な期待をかけているし、母親は、実は継母だとわかる(継母が子供たちを愛していることは、すべてのシーンから伝わってくるのだが)。妹にはとても相談できない。後半はこの妹が中心になるのだが、前半は、意図的なのだろうが、妹の存在感が非常に薄い。
中流家庭で、家族に大きな問題があるわけでもないのに、何かあったときに相談できないくらい孤独、というのは、わりと普通にありそうだ。原因はタイラー本人にもあるわけだけど、このどうしようもない孤独、孤立の描写がとにかく痛い。見ていて苦しくなるくらいだった。
タイラーが取り返しのつかないことをしてしまい、家族は共同体から孤立、妹も学校の中で孤立してしまったとき、同じ高校の白人少年が声をかけ、彼との交際の中で救いを見出していく、というのが後半なのだけど、前半に比べて緊張感がなさすぎるし、救済の過程もよくある話で、新鮮味がないだけでなく、ほんとにこれで救済されるのか、という疑問がつきまとう。とりあえず、丸くおさまって終わり、みたいな安易な感じなのだ。
というわけで、前半は必見だが、後半は眠いし中途半端、というのが私の感想です。