2014年12月7日日曜日

インターステラー@新宿ミラノ座

クリストファー・ノーランは処女作「フォロウイング」からずっとフォローしていて、雑誌やこのブログにも必ず文章を書いていたが、新作「インターステラー」は正直言って、あまり見る気がしなかった。理由はまず長い。おまけに内容が、滅亡する人類を救うために人間が住める惑星を探しに行くって、それ、いつのSFや?という話(昔からある話なんですよ)。これを3時間もやるのか、おい、てな感じだったのだが、上映館が年末で閉館する新宿ミラノ座なので、これを見納めにするのは悪くないと思って行ってみた。
で、ふだんは映画館は平日に行くことにしているのだけど、やはり年末ということで平日も忙しく、土曜日に出かけた。土曜日の新宿なんて行きたくないのだがしかたない。行ってみると、チケット売り場の前に10人くらい並んでいた。お、こんなに並ぶのめずらしい、と妙に喜ぶ。入ってみると、さすがに平日よりは客が入っている。平日だとほんとガラガラだけど、まあ、ガラくらいにはなってる(土曜でもこんなものか、というくらいでした)。
ミラノ座は20日頃からラストショーということで、過去に上映した作品をいくつも上映する予定だけど、これも行けるかどうかわからない、たぶん行けないだろうな、と思うから、ほんと、これが最後かもしれないと思い、帰りに2階のロビーを見てみたり、1階に置かれたポスターを全部見たりした。パンフレットの販売会もやっていたけど、映画が終わる頃には閉店していた。
で、「インターステラー」なんだが、今出てるキネ旬では妙にヨイショしていて、これってもしかしてベストテンに入れようというステマ?とか勘ぐってしまうのだけど、特集の方はヨイショっぽいのは1人だけで、あとはわりと納得の解説文であった。
クリストファー・ノーランの大ファンを自認する私に言わせれば、これ、今までで一番つまんないよ。
まあ、つまんないわりには3時間まったく飽きなかったので、それはさすがだと思う。きちんとできているから飽きさせない。
でもねえ、終わったあと、カップルの女性が「で、これ、何が言いたいの?」と男にたずね、男沈黙、というシーンを見てしまったが、私もこの映画「So what?」です。
難解な映画では全然ないんですよ。難解な方が「2001年宇宙の旅」や「惑星ソラリス」みたいで、いろいろ考えるところがあって、さすが、と思えるのだが、全然難解じゃない。ブラックホールやワームホールを抜けて別の場所に行くというのはいまやSFファンじゃなくたって知ってるだろう。
愛がすばらしい、とか書いている人いたけど、ノーランの映画は常に愛が隠し味だったのに、この映画は最初から愛だ愛だとうるさい。もう、愛のてんこ盛りで、見ているうちに食傷してしまう。さりげなく愛、だからよかったのにさ。
だいたい、人類が滅亡しそうになってる、と言ったって、なんだか重力が変で、それで砂嵐が起きて、雨が降らなくて、農業がだめになり、それで滅亡しそう、という設定が、はあ?という感じ。そうなりそうになったときに何かできただろう?と突っ込みたくなる。黙って砂嵐が来るのを待ってたわけ? シェルター作ってとか考えなかったわけ? ただもう、科学を捨ててあきらめたの? わからん。
この種の勝手に人類滅亡しそう状態を作るSFって、以前は批判する人いたよね。今はいないのか?
で、冒頭の主人公と娘のシーンはなんだか「シックス・センス」の監督っぽいし、宇宙に出てからは「ゼロ・グラビティ」の二番煎じっぽいし、新しさをまったく感じない。「彼ら」とか言ってるので、「2001年」みたいに宇宙の神みたいなのが出てくるのかなあ、と思ったら、それはなかったのでよかった。この辺はノーランはやはり現実的。そのかわり、謎とか神秘とか無縁。
上で、「ただもう、科学を捨ててあきらめたの?」と書いたけど、ノーランとしては科学を捨ててあきらめることをしない、というテーマを頭でひねくりまわして作ったんじゃないのかな、と思う。というのは、映画の中で何度も繰り返されるディラン・トーマスの詩「あの心地よい闇に静かに入っていってはいけない」というのは、病気で死にかけている父親に詩人が語りかける詩だからだ。トーマスはウェールズ出身で、のちにアメリカに移住した無頼の詩人だが、病で死にかけている父親に対し、これが運命だと思ってあきらめて死ぬな、と言っているのである。しかし、映画を見ている私たちにとって、科学をあきらめて捨てた人類はノーランが勝手に作り出した人々でしかない。まあ、ノーランは観客に向かってあきらめるなと言ってるわけじゃないと思うが。
3時間近く、そして地球の時間では100年近く、すったもんだしたあげく、ラストでは人類が他の惑星へ移住する計画が進められているけど、まだ入り口に立ったばかりみたいだな。ブラックホールの中で主人公は、遠い未来の人類はすごい科学の発達をなしとげたとわかるようだけど、あのシーンは科学的には反則だと思う。
あと、stayという単語がキーワードになっていたけど、この単語は「E.T.」でいろいろな意味で使われた単語。なんかいろんな過去の映画のモチーフで作られた、かなり懐古趣味的なSFにしか見えなかったというのが私の感想です(はあ。溜息)。
その他いろいろ言いたいことあるけど、ノーランはストレートに人間を描くと底が浅いのがバレバレなのもなあ(もう一度溜息)。
でもまあ、きちんとできているので3時間飽きないというのがとりえ。