2014年12月24日水曜日

フランケンシュタインの映画

いろいろな形でよく映画になる「フランケンシュタイン」ですが、ジェームズ・マカヴォイとダニエル・ラドクリフ主演の「ヴィクター・フランケンシュタイン」(原題)というのが2015年10月にアメリカで公開になるらしい。監督は「シャーロック」の人で、イギリス映画だそうだ。
で、内容は、というと、マカヴォイがヴィクター・フランケンシュタイン、ラドクリフが助手のイゴールって、メアリ・シェリーの原作と関係ないじゃんか! つか、これ、ボリス・カーロフの映画のパスティーシュだろう。
ただし、カーロフの映画では、フランケンシュタインはヴィクターでなくヘンリーになっていた。そして、フランケンシュタインの親友ヘンリー・クラーヴァルがヴィクター・クラーヴァルになっているという、脚本家、何考えてんの?な映画なのだった(でも傑作)。
でも、イゴールは原作には出てこないけど、イゴールという助手が最初に登場する「フランケンシュタイン」はカーロフの映画以前にあったのかもしれない。なにしろ、「フランケンシュタイン」は小説出版後わりとすぐに舞台化されたらしいし、映画もカーロフ以前にもあったのだ。
で、「シャーロック」の監督でマカヴォイとラドクリフなら、日本公開あるでしょう。そのためだったか、新潮文庫。
ケネス・ブラナーの映画のときは、角川が映画のノベライズの翻訳(単行本)を出した関係で、映画との原作タイアップは角川文庫のみ。しかし、創元は映画の写真を出せなかったが、帯に「原作」とでかでかと書いて売ったのだった。タイアップなくてもそこそこ売れたのは、角川の翻訳が非常に古いもので、全訳ではなかったからだった。
さて、そのマカヴォイの映画のときは新潮だけがタイアップするのか、はたまた新潮、角川、創元、光文社の4文庫そろい踏みに、さらに20世紀末に出た講談社の単行本と、21世紀初めに出たマイナーな出版社の単行本が加わるのか? いっそ、国書刊行会から出ていた単行本も出してしまえば?
以前と違い、今は本はネットで買うのが主流で、書店に映画の写真のついた本を平積みにして映画の宣伝にするのはすでに過去の話。タイアップは出版社には得になっても配給会社には何の得にもならないのが現実。なので、古典の映画化の場合、原作とのタイアップなしもある。

一方、演劇では「シャーロック」のベネディクト・カンバーバッチが主演する「フランケンシュタイン」が好評で、日本でも舞台中継録画の上映が映画館であったようです(知らなかった)。