2018年4月14日土曜日

角川シネマ新宿&TOHO日本橋

「空海」インターナショナル版を大きなスクリーンで見られるおそらく最後のチャンス(?)の金曜日。
翌日からは大映男優祭が始まるので、「空海」は小さい箱に移ってしまう。
が、古い映画館で見づらそうだし、音響も映像も期待できないから、行ってもむだだろうと思っていたのだが、角川シネマ新宿ってどこ?と思い、地図で調べたら、なんと、新宿文化シネマがあった場所だった。
なつかしい。80年代90年代によく行ったところ。ここが閉館してシネマート新宿と角川シネマ新宿になったらしい。私がよく行っていた新宿文化シネマ2はシネマート新宿のスクリーン1の方だ。記録によると、シネマ1だった角川シネマ新宿のスクリーン1の方はトリュフォーの「終電車」などを見たようだが、2、3回しか行っていない。シネマ2の方は「ソフィーの選択」、「フランス軍中尉の女」、「1900年」など、記憶に残る映画を何本も見ていて、座席も記憶に残っているが、角川シネマになったシネマ1の座席はほとんど記憶にない。
それはともかく、新宿文化シネマの場所なら行きたい、と思い、「空海」通算13回目の鑑賞へ。
昔取った杵柄というか、新宿三丁目の改札を出てから映画館まで何も考えずにすっと行くことができた。何度も歩いた場所だ。ただ、歩道がこんなに狭かったっけ? 伊勢丹、相変わらずだねえ。松戸の伊勢丹は閉店しました(広い書籍売り場があったのに残念)。

さて、角川シネマ新宿の「空海」インターナショナル版だが、やはり音はかなり悪い。が、スクリーンが大きいので解像度が高いというか、細かいところがよく見える。小さいスクリーンだと細かいところがはっきり見えなくてストレスだったが、それが全部見える。長安の町に灯りがともっていくところなど、大画面だとやっぱり違う。大きなスクリーンは吹替え版以来だったが、やっぱりこの映画はこういうふうに見えなければ、ということを実感した。中国ではIMAX上映もあったそうで、大画面で見るべき映画なのだ。ほんと、行ってよかった。新宿文化シネマを思い出したおかげだ。

最初は映画を見たら、「東京やあ~」(「君の名は。」)のバスタ新宿へ行ってみようと思っていたのだが、まだ見ていない「ペンタゴン・ペーパーズ」とハシゴした方がいいかと思い、劇場を探す。最初に見た新宿と上野のTOHOは80席とか90席とかの狭いところ。こんなところでスピルバーグの新作を見られるか! と思い、日本橋を見たら、220席以上の広いところでやっている。日本橋は一番狭いところでも110席あって、大箱と中箱が多い。都心にいた頃から時々行っていたけれど、ここで見た映画は全部大きいスクリーンで見ている。上野と日比谷ができたら日本橋に客が来なくなるのでは、という予想があるのだけど、上野は狭いし日比谷もネット上の評判を見るとあまり行きたくない感じなので、日本橋にはぜひがんばってほしいものだ。

「空海」が終わってから「ペンタゴン・ペーパーズ」が始まるまで1時間ほどなので、地下鉄入口のファーストキッチンで腹ごしらえして、都営新宿線で岩本町に向かう。文京区に住んでいた頃は新宿は都営新宿線で行くことが多かったので、これも慣れた路線。岩本町からTOHO日本橋のある三越前までは徒歩15分くらいだけれど、ここから日本橋までの道もかつてはよく歩いた場所。以前よく入ったベローチェやかつやを横目で見ながらシネコンにたどりつく。なんかもう、この日は歩きなれたなつかしい場所めぐりみたいで楽しかった。文京区のマンションの屋上から見えていた三井の高層ビルの前に新しいビルが建設中で、もう文京区から三井のビルが見えないのだなあと思う(マンションの屋上だけでなく、高台になっている場所からも見えた)。

「ペンタゴン・ペーパーズ」は作劇としてはイマイチだし、人物描写も役者の演技に頼るだけで深みがないが、内容がいちいち今の日本にあてはまる。メリル・ストリープの新聞社社主やトム・ハンクスの編集主幹が大統領や政府要人と親しくて、「寿司友」みたいになっていたのだが、ハンクスが「新聞人が政治家と会食するべきではない」と言いだして、ああ、アメリカもこの頃まではマスコミが政治家と「寿司友」になってたのか、と思った。アメリカの記者はコーヒーが出ても飲まない、と言われていたが、最初からそうだったわけではないのだな。
政府が新聞に圧力をかけて記事を掲載させないようにする、という、民主主義国家では許されるべきではないことが行われていて、それと戦うために別の新聞が記事を載せようとする。予告編だとこのあたりで社主のストリープが苦悩するみたいな感じだったが、実際は男衆があたふたしているときに社主が鶴の一声で「やりましょう」と言い、その後も彼女がまったくブレない。この辺の人物描写が薄いといえば薄いのだが、彼女の行動を女性たちが讃えるシーンがいくつか登場し、ストリープが裁判所から出てきたあと、さまざまな人種の女性たちの中を通っていくシーンで、女性が行動する時代の始まりを表現している。

おまけ
これまで「空海」にはもれなく「蚤取り侍」の予告編がついてきて、阿部寛のイメージのギャップが激しいからやめて、と思っていたのだが、角川シネマ新宿では「蚤取り侍」の予告がなかった(上映予定がない)。が、「ペンタゴン・ペーパーズ」の前に出てきやがった「蚤取り侍」。しかし、今回の予告、猫が2匹増えたような気がするぞ。白い猫と黒い猫だ。

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三井の高層ビル、日本橋三井タワーというらしい。
以前住んでいたマンションの屋上から撮った写真(トリミング)。
真ん中が東大のビル、その向こうの高いビルが建設中だった淡路町の高層ビル、左が日本橋三井タワー。