2018年9月17日月曜日

九州大学元院生放火自殺事件についての追記

前記事の追記です。

みわよしこ氏の記事のコメントから。(ただし、このコメント者の最後にある生活保護批判(ここでは省略)には賛成できない。また他のコメントも参考になる。)

中卒すぐの自衛隊入隊というのは少年工科学校などの、いわゆる少年自衛官であり、優秀な少年しか入れない狭き門で、卒業後は若くして下士官に任官するとともに高校卒業資格も得られる準エリートコースです
だから卒業と共に大学受験資格も得られるのであって、みわよしこ氏が長々と想像して書いてる大検でもありません
しかも、少年自衛官として採用されて以降は、衣食住無料のまま自衛官としての給与も得られますから、無駄遣いしない限り、同世代の人にはあり得ないほど、かなりの貯金が得られるでしょう
その貯金で、大学進学したのだと思います

(中略)
私も九大で同じ箱崎キャンパスにいましたので、こういう大学院に進学して研究一筋で生きている人を間近で見ていますが、おそらく研究者として身を立てることがこの人の生きる目的になっていたからではないか、と思います
従って、研究者として身を立てることができなくなった時点で、この人は生きる望みを失ったのであり、自殺の原因は、おそらくそれではないか


後半の推測は私とまったく同じなのですが、前半は知りませんでした。
この前半を知っているか知らないかで見方ががらりと変わるのは否定できません。
貧しい環境の中からやむを得ず自衛官になり、苦労して大検に合格、さらに苦労して九州大に合格、ではなかった可能性(下に追記あり)。
もともとエリートコースで、優秀だった人が自衛隊で稼いだお金で九州大に進学、となると、大学進学時点では貧困だったかどうかはわからない。
ただ、院に進学してからは、だいたいこういう貧困に陥るわけで、院に進学してからあとの話だと、一般的な院生の貧困と未来のなさという一般論になる。

実は、中卒で自衛官になり、その後も苦労した人なら、もっと生きるためのサバイバル的思考を持つのではないか、なぜ研究にだけこだわっていたのか、という感想は私の中にもあった。
自衛官のエリートコースで、その後もエリートとして生きていたのかもしれない、と思うとわかる部分もある。
ただ、この事件については詳細があまり報道されておらず、現段階では自分の思い入れで意見を言ってしまうことになる、というのは確かなので、自戒しなければならないのではあるが。

さらなる追記
この少年工科学校に入る人は貧しいけれど優秀な少年だったようなので、貧しい環境から、というのはおそらく正しいだろうが、この問題は、Aさんの大学院進学後が問題なのであって、それまでの経歴は他の人とは違っていてもさほど重要でないのではないか。家族親族を頼れない人というのは案外多いものだし、その一方で窮状を訴える友人がいたり、10万円貸してくれる人もいたりと、交友関係はあったようだ。
貧困ではあったが、Aさんの場合はやはり研究の世界の問題が大きく、下の記事で書いたように、生活保護を受ければよかったとして、生活保護の問題にしてしまうのは正直、研究の世界で同じように苦しむ人に対しても、逆に生活保護が必要な人に対してもよくない気がする。みわよしこ氏の記事がいろいろとミスリーディングなのは確かだろう。