2023年10月18日水曜日

読んでいる本

 辺見庸の「月」は火曜日中に読んでしまいました。

タイトルの月は、たぶん、「肉づきへん」の月なのだろう。ラスト、月と虹というのは肉体についた血のことで、それにカゲロウがたかっている、というのはーーこのカゲロウの意味がまだちとわからん。ただ、全体に、肉体の重要性が描かれていると感じた。殺人犯は「心があるか」を問題にしているが、それ以前に肉体であると、人間の存在は。そのラストのすぐ手前に描かれているのは、内臓を露出させている女性の姿だ。内臓も含めた、生きた肉体であると。

フォークナーの「響きと怒り」は知的障碍者の語りだったけれど、「月」は重度障碍者の語り。ただ、重度障碍者の意識とは思えない内容がかなりある。健常者の片割れがいるという設定なので、完全な重度障碍者の意識ではないのだろう。

描写は完全に純文学で、まあ、これを映画化するのはむずかしいだろうなと思った。

水曜日は県立図書館へ。予約していた本と雑誌が届いていた。

雑誌は「映画芸術」の「福田村事件」特集。例によってこれは郷土資料で、館内閲覧のみ。


「福田村事件」と、「怪物」とクイア映画の特集、それと後ろの方の常設コーナーっぽいところを読んだだけですでに3時間。真ん中の追悼特集とかインタビューとか全然読めてない。さすがに1回じゃ無理なので、また来ることにした。2週間くらいは読める。


大昔のキネ旬並みの細かい字でびっしり書いてあるので、読むのに時間がかかる。執筆者1人当たりの文章量がとにかく多くて、近頃これだけ長いのを書ける紙媒体ってあまりないだろうと思うけど、その一方で、長くて冗漫だと感じる文章も少なくない。いくらでも自由に長く書いていい、みたいな感じだと(実際はどうだか知らないが)書くことに緊張感がなくなるのではないかとさえ思った。もちろん、長さを感じさせない文章もあった。

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」の原作は、借りることができた。図書館の近くの喫茶店で3分の1くらい読みました。


映画は初日に予約してしまったけど、明日は遠方まで仕事だし、映画の前に全部読むのは無理そう。