2012年12月26日水曜日

ライフ・オブ・パイ

相変わらず風邪気味ですが、左目の充血がいっこうに治らず、それどころか右も赤くなってきました。プールで泳ぎすぎて充血したときは、翌日にはすっかり治っていたのですが、これは風邪が治るまで治らないのだろうか。とにかく、水泳は当分お預け。
そして、クリスマスの25日は「ライフ・オブ・パイ」の試写会。せっかく試写状いただいたのに、今日見ないともう行ける日がないかもしれない、でも、3Dか、目の調子が悪いのに3Dなんか見て大丈夫だろうか、と不安に思いつつ、一応、行ってみました。
3Dは何年か前にジム・キャリーの「クリスマス・キャロル」を見て以来です。あのときは90分くらいの短い映画なのに、ものすごく目が疲れた。3D用のメガネが重くてつらかった。ところが、今度の映画は2時間以上ある。しょうがない、つらくなったら目をつぶってしまおう、と思っていましたが…。

全然大丈夫でした!

まず、メガネが重くない。しかも、近眼用のメガネの上にしっかり固定されて、ずり落ちてこない。そして、「ライフ・オブ・パイ」の3Dは、飛び出してくるタイプではないのです。いかにも3Dだぞ、3Dだぞ、というところがない。気にしていないと3Dだということを忘れる(片目をつぶると3Dでなくなります)。でもやっぱり、2Dとは違う映像の美しさが感じられます。
これまでの3Dは、「アバター」を除くと、2Dで見ても、ああ、ここが飛び出してくるんだな、とわかるような映像のつくりになっていましたが、この映画はそういう感じではありません。インド人の少年がトラと漂流する話だけど、トラが飛び出してきても、3Dでトラが飛び出してくる感じはありません。そういうこれ見よがしなところがなく、逆に、静かな海の水面の広がりをあらわすようなシーンに3Dの不思議な美しさがあるというか。うーん、これは必見。
これまで3Dの映画はとことん避けていて、見たい映画は2Dの映画館へ行ったくらいでしたが、これは思いがけないすばらしい3D体験でした。
映画は世界中でヒット、絶賛されていて、確かに2時間7分、まったく飽きません。インドで動物園を経営する両親がアメリカに移住を決意、動物と家族で日本の船に乗り、太平洋を進む途中、船が難破。16歳のインド人の少年パイだけが救命ボートに乗れて助かりますが、そこへ逃げてきたトラが! というわけで、飢えと乾きと海の脅威に悩まされながら、少年がいかにしてトラに食われずに生き抜いていくか、というお話。まあ、とにかく映像がきれい。そして、少年とトラだけの海のシーンばかりなのに、少年がトラをかわしたり、ならしたりしながら生きていくエピソードの数々が生き生きとして面白いです。トラはCGですが、なんだか、猫スポットで会う猫と表情が似ていて、奇妙な気分になりました。
鏡のような海と、ラスト近くに少年がたどり着く島の描写がこの世のものとは思えないような(実際、この世にはありえない風景なのだが)幻想的な美しさです。
1つ苦言を言うとしたら、久しぶりに外国映画の中の感じの悪い日本人を見たことかな。船が日本の船だったということで、日本人が調査に来るのですが、この日本人が、あまり感じよくない描かれ方です。最近は日本人は感じ悪く描かれたり、あまりにも変だったりということが減っているのですが、この映画の日本人は頭が悪すぎで、非常に感じが悪い。これは原作者の感覚なのか、監督(台湾出身のアン・リー)の感覚なのか、知りたいところです。もっとも、主人公とその家族のインド人たちも、インド人から見たら変なのかもしれませんが。あ、あと、ジェラール・ドバルデューのフランス人コック(チョイ役)がものすごく感じ悪かったですね。そういう視点の映画なのかもしれないですね。