2016年8月16日火曜日

シン・ゴジラの行動範囲がローカルすぎる件

「シン・ゴジラ」でゴジラの歩くところが首都圏の人にしかピンと来ない、ローカルすぎる、という意見がネット上にありました。
いや、それは本当。
では、ゴジラはどこをどう歩いていったのか、「シン・ゴジラ」観光したい人のためにサイト。
http://li-vvon.com/arcticle/5649

まず、最初に現れるのは東京湾の海ホタルですね。ここは有名。
次が東京都大田区蒲田の呑川。
実は私の本籍地のすぐ近くです(ローカル)。
私は神奈川県川崎市生まれですが、本籍地は大田区蒲田。蒲田の駅の近くでなおかつ呑川の近くです。
蒲田なんて、戸籍抄本取るときしか行かないなあ。最後に行ったのはいつだろう。
なぜ本籍が蒲田かというと、父親の家族が戦前戦中にここに住んでいたからです。
東京大空襲で焼け出され、戦後は川崎市に移り住んだのです。
ゴジラが光線を出して暴れるシーンに東京大空襲を見る人もいるのですが、まさに我が家が空襲という名のゴジラに蒲田で襲われ、多摩川の向こうに避難したわけです(ローカルだな)。
さて、ゴジラはいったん海に帰り、そのあと鎌倉の由比ヶ浜に上陸。
実は鎌倉市はHPに津波のシミュレーション映像を載せて話題になった町です。観光地なのにあえてそういう情報を出すことにした市の英断が讃えられています。この映像では、高いところに避難ということで、どういう経路で逃げるかがわかるようになっています。
もしも映画の作り手たちがこの映像を知っていて由比ヶ浜を選んだとしたら、まさにゴジラは津波の象徴となるわけです。そして、鎌倉は全国的に有名な観光地。
このあとゴジラは横浜を通って川崎に達するのですが、なぜか映画は全国的に有名な横浜をスルーしています(ここいらがローカル)。
ゴジラは多摩川に達し、そこで自衛隊の攻撃が始まりますが、舞台となるのは武蔵小杉駅(神奈川県川崎市)と多摩川駅(東京都大田区)の間にある、多摩川にかかる丸子橋あたり。
ここって、週に1回、通勤で通るんですよ。
武蔵小杉は高層マンション林立で有名な場所ですが、やっぱりローカル。
丸子橋の隣を走る東急東横線で通勤しているのですが、このあたりは上流も下流も眺めがよくて、気に入っています。青い丸子橋も美しい。近くに神社があります。でもローカル。
ちなみに多摩川駅の隣は有名な田園調布で、同じ大田区でも蒲田と田園調布では葛飾区と文京区くらいのイメージの差がありますね(ローカル)。
ちなみに田園調布は東横線の特急は停まりません(ローカル)。
栃木県の宇都宮市でもロケされていたんですね。宇都宮も行ったことあるけど、今や餃子で有名な宇都宮。
クライマックスは東京都千代田区の科学技術館屋上と東京駅付近。東京駅付近は全国的に有名で、特にあの赤レンガの駅舎が有名ですが、科学技術館屋上は原爆をテーマにした「太陽を盗んだ男」のクライマックスでもあったので、映画ファンはすでに指摘していました。が、あの映画を知らなくても、背景に武道館の屋根が映るので、ここが北の丸公園であることがわかります(ローカル)。
武道館は有名だと思いますが、あの屋根でピンと来たという意見をまだ見てない。「太陽を盗んだ男」を知ってる人しか書いてなかった気がする。
ここは皇居と靖国神社がすぐそばなのです。
ゴジラは皇居は避けるのは初代からデフォですね。
そして、この映画ではゴジラから逃れる人々が神社に逃げるとか、多摩川のところでも神社に司令部を置くとか、どうやらゴジラは神社も避けるようです。
神社に逃げるというのは高いところに逃げることにもつながるので、ここでもゴジラは津波と考えられるのですが、同時に、神社は霊的な場所、つまり、結界なわけです。
皇居はもとは江戸城なんで、霊的な場所、結界と言えるのかどうかイマイチですが、でも、日本の古い城も現在では結界になってもおかしくはない。
だから、北の丸公園に司令部があるのは、そこが結界に守られた場所だからなんですね。
ここで左派の無教養な人たちがまたぞろこの映画は右翼だなんだとか言い始めそうなんですが、結界というのはファンタジーの世界なんで、そこんところはよろしく。
というわけで、クライマックスも皇居や靖国神社というメジャーな場所がすぐそばなのにそれを見せず、武道館の屋根だけにしておくところにこの映画のすばらしいセンスを感じます。
というわけで、ゴジラの行くところがローカルすぎるように見えて、実はそこには深い計算が、と、ますますこの映画の傑作ぶりに恐れ入ったのでした。

最後にひとつだけ不満を述べると、
神奈川県も相当に破壊されてるのに東京都の心配ばかりしてるのが許せん!
ということです。