2011年1月15日土曜日

27年

 解説を書いた「フランケンシュタイン」が出版されて、来月で27年です。その「フランケン」、アマゾンで現在、在庫なしで取り寄せに5日から9日かかる、と出てますが、一昨年、多めの増刷があったせいで、去年は増刷なしだったんですよね。今年は増刷されるといいな。でも版元には在庫の山があったりして…。
 そんなわけで、ライター歴27年になったわけですが、私はライターの収入はスズメの涙なので、とても仕事とは言えません。それでもこの27年間、ほとんど途切れることなく、どこかに文章を書かせてもらえたのは、ひとえに、私の文章を気に入ってくれる編集者が何人もいたからです。編集者は入れ替わりが激しく、いつまでも編集部にいるわけではなく、編集者が異動や退職で仕事が来なくなるのは日常茶飯事でしたが、そのあと、しばらくすると、必ず、別の救世主が現れる、という感じで現在に至っています(でも、実は、11月以来、原稿依頼が途絶えている…)。
 こんなふうに、スズメの涙で細々と、というのが、書き続けてこられた理由だと思いますが、ライターをおもな収入源にしている人は大変だなあ、と思ったのが、いつのことだろう。もう10年近く前になるだろうか。どこで読んだのかは忘れましたが、ある売れっ子ライターの末路の話。
 そのライターは大学時代から雑誌に原稿を書き始め、一時は売れっ子ライターで、大変な収入があったそうです。ところが、40歳をすぎた頃、若者に人気のあるロックの曲のよさが理解できなかった。そのライターは若者向けの音楽記事をメインにしていたので、非常にショックだったようです。そして、気がついたら、連載の仕事がいくつも減っていて、編集者がみな、自分より年下になっていた。もうこの世界は限界だと感じた彼は、その後、医療関係のライターに転身、50代の現在はそれで稼いでいるけれど、この世界もいつまで続くかわからないと感じている、ということで、その記事は終わっていました。
 40をすぎると編集者がみな、年下になり、仕事が減る、というのは私も実感があります。編集者はやはり同世代か年下の人と仕事をしたいという傾向があり、また、話も合わなくなるからです。ライター自身が年をとって、時代に合わなくなる場合もあります。そうなると、そのライターの名前で本を売れるとか、記事が読まれるという有名ライターになっていないと、仕事ができなくなる、そうだろうなあ、と納得したのを覚えています。
 30代の頃、大手配給会社の人から、「あなたはまだ30代だから大丈夫、でも、年をとると時代に合わなくなるから」と言われたのをよく覚えています。隙間ライターのように細々と書いてこれたのは、年上から年下に至る、さまざまな編集者のおかげです。