2011年7月25日月曜日

「グリーン・アイス」絶版

 2002年9月に小学館から出たラウル・ホイットフィールド作「グリーン・アイス」の翻訳がついに絶版。アマゾンにはまだ在庫があるようですが、興味のある方はお早めに。

 実はこの小説、1930年の作品なんですが、舞台がピッツバーグなんです。作者のホイットフィールドはピッツバーグで新聞記者をしていた経験があるので、ピッツバーグの町が実にリアルに描かれています。今から80年も前の作品なので、町並みとか、だいぶ変わっているはずなんですが、それでも、通りや川や橋などの描写が、町を知っている人にはなじみのある描写なのだとか。
 私自身はピッツバーグは行ったことがありませんが、最近見た映画「スリーデイズ」の舞台がピッツバーグでした。この映画はフランス映画「すべて彼女のために」のリメイクで、ヴァンサン・ランドンが演じた主人公をラッセル・クロウが演じていて、ランドンはいかにも冷徹なプロって感じなのに、クロウは見るからに素人の一般人という雰囲気で、クロウの方がヘマしそうでハラハラしましたが、川や橋が多いので、脱獄しても町を封鎖するのが簡単、だから逃げるのがむずかしい、という設定でピッツバーグが選ばれたようです。
 映画ではペンギンズのジャージを着た人たちも登場し、また、主人公がピッツバーグからバッファローを経てトロントへ逃げるあたりもNHLファン的にはグーなのですが、映画に描かれたピッツバーグを見て、「グリーン・アイス」をちょっと思い出したりもしていたところだったのです。
 ホイットフィールドのもう1冊の翻訳、「ハリウッド・ボウルの殺人」は文庫だったので、あっという間に絶版でしたが、「グリーン・アイス」は単行本だったのでここまで引っ張ってもらえたのでしょうね。これで絶版になっていない私の翻訳書は昨年出た「クリント・イーストウッド:レトロスペクティヴ」と、ロングセラーの「魔法の猫」だけになりました。「魔法の猫」も最後に増刷されたのはずいぶん前のような気がする。また、「グリーン・アイス」は私の小説の翻訳としては最後に出た作品です。最後に翻訳した作品は2002年7月に出た「インソムニア」でしたが、「グリーン・アイス」は原稿を入れてから本が出るまで2年くらい待ちました。当時は小説の翻訳が売れなくなり、その一方で、原稿はたまっているという状態で、なかなか出してもらえない時期でした。それでも、翻訳させてもらえたのだからまだよかったので、そのあとは仕事そのものがなくなっていったのです。