2012年2月27日月曜日

アカデミー賞決定

作品賞「アーティスト」やっぱりね。
主演男優賞、監督賞も「アーティスト」。
主演女優賞はメリル・ストリープ(「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」)やっぱりね。
脚本賞はウディ・アレン(「ミッドナイト・イン・パリ」)イラン映画「別離」もノミネートされてたんだけどね。「ミッドナイト・イン・パリ」は先日、見せていただきましたが、私には苦手なタイプのアレンだった(「アニー・ホール」系。つまり、私には向いてないけどたぶん傑作。でも、ヘミングウェイとか有名人たちの描写がイマイチ、カリスマを欠いていたように思いますが)。
外国語映画賞は、誰もが予想したとおりイラン映画「別離」。

 実は、このところ、「別離」の記事へのアクセスが異常に多いのです。
 先週土曜日は1日のアクセス数が210もあり、しかも午後6時から7時の間に108もアクセスがあったのですが、アクセス数=訪問者数ではないとはいえ、この日の「別離」の記事へのアクセスは150を超えていました。
 つまり、それだけ、この「別離」という映画への関心が高いということです(私のブログへの関心が高いのではありません。念のため)。
 「別離」は本当に面白く、なおかつ優れた映画で、イランならではの部分と、普遍的な部分がみごとに合体融合していて、今一番おすすめの映画です。

 作品賞の「アーティスト」も試写会ですでに見ていますが、ブログには書いていません。これはもう、解説の必要などまったくない映画。見れば誰でも楽しめる。余計なことを言うのは野暮。
 フランス映画なのですが、アカデミー賞はたしか、ロサンゼルスまたはニューヨークで1週間以上公開された映画が対象、つまり、日本映画も公開されれば対象なのです(「千と千尋の神隠し」が長編アニメ部門受賞)。ただ、やはりある程度ヒットしないとノミネートはむずかしいので、どうしても英語圏の映画、それもハリウッド映画やイギリス映画になってしまう。イギリス映画の作品賞受賞は何度もあります(去年の「英国王のスピーチ」もそうだろう)。
 しかし、今回の「アーティスト」はフランス映画とはいえ、舞台はサイレントからトーキーに移る時代のハリウッド。登場人物もアメリカ人(演じてるのはフランス人だったりするが、英語圏の俳優も出演している)。そして、なんといっても、サイレント映画だから、言葉をあまり使わないでいいのですね。間に字幕が入るのと、あと、少しですがセリフもあります。その字幕とセリフは全部英語です。だから、フランス映画だけど言葉は英語。なので、外国語映画賞の対象にはならない作品です。
 この映画を見たとき、ああ、英語圏以外の映画がハリウッドで受けるにはこの手があったか、と思いました。字幕とわずかなセリフが英語なら、英語圏以外でもできる。しかも、昔のハリウッドを舞台にアメリカ人の話にして、そこにフランス的なエスプリを加える。「ミッドナイト・イン・パリ」じゃないけど、アメリカ人もおフランスには弱いのですわ。
 そんなわけで、うまくやったな、「アーティスト」、なのですが、こういうのはコロンブスのタマゴで、思いついてやった人が勝ち。もちろん、作品の出来や面白さもピカイチです。犬の演技が最高。

 イラン映画「別離」が脚本賞にノミネートされたのも、上に書いた基準を満たしていたからです。脚本賞ったって、脚本を読んで選ぶわけじゃないので、英語じゃなくても無問題なのだ。