2012年5月3日木曜日

駅前ロマエ?

4巻一気読みしてしまった「テルマエ・ロマエ」ですが、読む前にアマゾンの読者レビューを見てびっくり。
 第4巻はそれまでのと展開が違い、ローマに帰れなくなったルシウスがラテン語が話せる東大大学院出の考古学者で温泉芸者の美女と出会い、長編ラブストーリーになってしまうのだと。
 それで、風呂も出てこないし、絵が雑になっているとか、ネタ切れだとか、編集部の余計な口出しでこうなったのだろうとか、映画化に合わせてヒロインを出して恋愛ものにしたのだとか、いろいろな推測が出ています。
 実際、読んでみると、これは3巻目までで十分だな、4巻の展開だったらもう買わない、と私も思いました。
 読者レビューの中では、評価の高い有用性のあるレビューと、評価の低い有用性のあるレビューの両方がすべてを言い表しています。

最も参考になった評価の高いレビュー
☆☆☆☆ 梃子入れっていうか最終話だよね
正直、この新展開には猛烈な違和感を覚えますが、もう作者もネタ切れなんじゃないかな。
ラテン語がしゃべれるローマオタクで天涯孤独の温泉芸者なんて無理が有り過ぎですが、浴場設計士として成功しつつもプライベートは不幸な主人公が幸せになって、めでたしめでたしってことで良いんじゃないかと。
これで次巻完結なら、最終話としてならこの展開もアリということで星は4つです。


最も参考になった評価の低いレビュー
☆☆ あれ?おもしろくない
(前略)
私にとって、テルマエ・ロマエは、
主人公と平たい顔族(日本人)の全力勘違いを主体とした
ギャグストーリーの中に知性がちらっと光る
そんな漫画でした。

でも、今回は全体的に勘違いの笑いが弱い。
ない、わけではないが、
長編ストーリのための人物像を描く部分にコマをさいたことにより
全体的に薄まっていると感じてしまいました。

私としては、前のままでよかったのに(泣)
偉大なるマンネリ(ほめ言葉)だったじゃないですか。
事件→おぼれる→日本へワープして平たい顔族との掛け合い→
ローマに戻る→勘違いしたままローマで再現→ハッピーエンド!
1~3話で完結!
水戸黄門の今回も印籠出しちゃうぞ!でも面白いの法則とでもいいますか。。。

ひとつのパターンで物語を作り続ける
作者の苦労も確かに想像できるのですが。。。
でも、変えて欲しくなかった部分が変わってしまったそんな印象です。
(後略)


そして、こういうレビューもあります。
(前略)

若い子を描くのが苦手で気が乗らないし(小学生くらいまでは好き)、現代日本の若い子と接点があまりない事もあって、もし自分一人でテルマエを描き進めていたとしたら、絶対出て来なかった'W巻の登場人物、さつき。

私だったら、もし同じ立場の登場人物を出すなら、絶対におっさん大学教授か、ローマ人の物語を愛読する爺さんとかにしてしまっていたでしょう。
(以下略)


テルマエ'IV巻のヒロイン 作者ブログより
[・・・]

これは見たかった・・・!!!

『ルシウスがおっさん大学教授と銭湯でラテン語で歓談する光景』
『ローマ人の物語を愛読する爺さんに露天風呂で質問責めにあうルシウス』

(後略)

作者も不本意だったのか。だよね。
ちなみに、映画で上戸彩の演じるヒロインは漫画家とのことで、こっちの方がまだ自然。

 というより、ルシウスが「平たい顔族」の国(日本)に来て、そこでラテン語が話せる人に会って、コミュニケーションがとれてしまう、というのが一番いけません。
 そのうち、さつきから日本語習って日本語ペラペラになるぞ、ルシウス。いや、すでに漫画では日本語のせりふでさつきと話してるのだ。平たい顔とコミュニケーションがとれた時点で、これは終わりです。電気製品の仕組みを理解するなんて、さらにまずい。理解ではなく勘違いが身の上だものね、この漫画。
 そして、絵が雑になったというのは、ローマの場面がなくなったから、というのが大きいでしょう。3巻まではローマの風景がとてもていねいに美しく描かれていて、すばらしかったのに、日本だけになると手抜きの絵ばかりに見えます。全部緻密なローマの絵ばかりでも疲れてしまうけど、全部手抜きの日本の絵ではねえ。
 そんなわけで、お手軽な駅前留学ならぬ駅前ロマエと化した、もはや風呂漫画でさえなくなった漫画。ファンががっかりするわけだわ。
 あと、この漫画の魅力は、ハドリアヌス帝とルシウスのちとホモっぽい主従関係にあるのだが、そっちを捨てて魅力のない温泉芸者に切り替えるリスクを編集部は考えたのかなあ。男の編集者だとその辺わからないのかしらん。そんでもって、温泉芸者がイマイチなので、4巻目の最後は馬がルシウスにほれることになってます。もう、コミケネタの皇帝との主従関係を捨ててはいかんよ。