2018年3月25日日曜日

2日連続「空海」インターナショナル版

昨日に続き、今日もさいたま新都心へ「空海」インターナショナル版を見に行ってしまった。
昨日は字幕の訳が吹替えと同じなところが多く、中国語を聞きながら頭の中で吹替えの日本語が響いてくるというハイブリッドな鑑賞になっていた上、そのあとに見た「リメンバー・ミー」がハンパないガッカリ度だったので、欲求不満が残り、今朝は早くから目が覚めて二度寝ができない。
さいたま新都心はとにかく電車賃が高い。時間的には六本木や新宿よりやや近いのだが、電車賃は片道200円くらい高いと思う(全部JRだから)。しかし、休日に六本木へ行くのはためらわれるし、さいたま新都心ならMOVIXの6回見たら1回タダが使える。そういやトーホーの6回見たら1回タダも「空海」吹替え版を見たのだけど、これじゃ興収や動員に貢献できないなあ、と思いつつ、インターナショナル版をタダで見る。
昨日はちょっと前すぎたので少し後ろにしたら自分的にとてもよい位置だった。
昨日のように日本語吹替えの声が頭によみがえることもほとんどなく、ようやく吹替え版がリセットされて中国語版を楽しめた。音響もこの前は前すぎてよくなかったな。
昨日ほどではないけど今日もけっこう入っていた。
都内はトーホー新宿が昨日は夜の部が完売したようだけど、今日は夜の部がなく朝だけという、トーホー、おまえ、この映画に何か恨みでもあんのか?と思ってしまう。首都圏のトーホーはレイトだけだったり朝と昼だけだったり、かろうじて新宿が平日の夜に見られるといったひどい扱いで、トーホーじゃないMOVIXが土日に都合のよい午後の部になっているという。都心はシャンテシネあたりで終日上映すべきなのではないか。(追記参照)

この映画は「君の名は。」と同じで、見れば見るほど新しい発見があり、画面をくまなく見てしまい、一見荒唐無稽に見えながら実は非常に緻密に構成された脚本で、見れば見るほど奥深さがわかるという映画なのだ。
最後の「マウンテン・トップ」の歌も「君の名は。」の最後の「なんでもないや」と似た感じで、チェン・カイコー、「君の名は。」を見たのかな、と思ったり(RADWIMPSを推薦したのは角川側だろうけど)。
この歌はやはり日本から旅してきた空海のことをまず第一に歌っていると思うが、この映画には孤独な人物が何人もいて、空海も白楽天も白龍も丹龍も楊貴妃も阿倍仲麻呂もある意味、孤独を抱えた人物で、彼らがいろいろな意味で山の頂をめざすというふうにもとれる。
空海が楊貴妃の生と死から密教の教えを学んだと最後に述べるけれど、実は途中の日本での師匠とのシーンで、師匠が「生と死を超える教えを唐から持ち帰れ」と言っている。そこからつながっていたのだ。だから、空海が最後に寺に招き入れられるのは、彼がその教えを悟ったと丹龍がわかったからで、丹龍は最初から空海を見守っていたことになる。
その丹龍が、白龍に「おまえには俺しかいない」みたいなことを言うのは、身寄りのない白龍を義理の弟して見守ってきた丹龍の思いであって、しかし、白龍は自分には楊貴妃がいると言ってしまう。この男と男と女の関係は(空海と白楽天と楊貴妃もだけど)、「さらば、わが愛」と似た構図で、ただ、同性愛がここにはまったくないのと、男を見守る男の方が大人で、白龍と白楽天はまだ青いというか、白楽天がかわいいという意見がネットにけっこうあるけど、ほんとにそうだ。
黄鶴が白龍を親に金を払って引き取ったのは白龍に妖術師としての強いパワーがあると感じたからだろう。
この映画、男が目をうるうるさせたり涙を流したりするシーンが多くて、女は逆に毅然としている。また、殺される女はすべて絞殺。
最初の日本独自の歴史解説はあってもまあいいんだけど、ナレーションにかぶせて歌を流すのはRADWIMPSに対して失礼な感じがする(吹替え版のシーンで流すのも同様)。ずっと中国語、時々少し日本語で、最後に中国語でも日本語でもない英語の歌が出てくれば効果的だけど、英語の歌はそれ以外流すべきではないと思った。この「シェイプ・オブ・ミラクル」は映画にはないイメージソングとして別に売った方がよかった。
あと、映像や音響の技術面は日本が主導でやったみたいだけど、猫のCGはGJだと思う。最後は同情させないといけないからかわいさは最初から表現しないといけないけれど、化け猫だからかわいすぎてもいけない。その辺がすごくうまくできている。猫らしくない動きもあるけど、元は人間だからいいんだし、涙を腕でぬぐう動作、あそこが泣けるんだから。
「ルドルフとイッパイアッテナ」のかわいいけど不自然な黒猫に比べても非常によい出来だと思う。

吹替え版4回見たからインターナショナル版も4回以上見ようと思い始めたけど、いつまでやっているのか、来週以降、今よりひどい時間帯になってしまうのか、いろいろ心配。もう、交通費とか気にせず、都合のいい時間のところへ行かねば。つか、字幕版やってほしかった人は片道2時間かかっても、新幹線に乗っても見なければいかん。そうでないと、やっぱり字幕版は需要がないと思われてしまう。

追記 そういえば、「君の名は。」がロングランしていたときも東宝の映画だから他の映画に影響が出ないようにと東宝系ではあまりよい時間に上映されず、MOVIXの方が「君の名は。」を優遇していたようなところがあった。「空海」も東宝だからそれがあるのかもしれないけど。