2020年1月29日水曜日

「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」

試写状をいただいていたのだけど、なんだかんだで見に行けず、流山おおたかの森でやるから「キャッツ」とハシゴすればいいや、と思っていたら、「キャッツ」は徒歩35分のUC松戸で見てしまったので、さていつ行こうと考えていた「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」。
流山おおたかの森はプレミアスクリーンがお気に入りなので、次の週はプレミアになるかもしれないな、と期待していたら、プレミアになったけど朝8時台の回のみ。これは無理。
次週の時間割が決まるのは火曜日で、火曜の昼間にそれを知り、だったら今日行くか、と思ったら、流山はもうレイトしかない。
そうなると南船橋の出番である。
幸い、夕方からの時間で、ゆうゆう間に合う。
というわけで、雨の中、南船橋のららぽーと船橋まで出かけた。
ここへ行くと必ずIKEAでホットドッグとフライドチキンで腹ごしらえをする。どちらも安くておいしい。両方食べるとかなりおなかいっぱいになります。

「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」(原題は「ドン・キホーテを殺した男」)はジャン・ロシュフォール、ジョニー・デップの主演で撮影が始まりながら、ロシュフォールが病で降板などのトラブルに見舞われ、撮影が中止。その顛末を描いたドキュメンタリー「ロスト・イン・ラマンチャ」はすでに見ていたが、その後もいろいろな俳優が主演に決まりながら撮影にまでは至らず。これはもう映画化無理じゃない?と思っていたくらいだったが、なんとか完成に至り、ついに日本でも公開された(でも、あまりにも客が入ってないみたい)。
ストーリーは、ドン・キホーテが登場するコマーシャルをスペインで撮影していた監督(アダム・ドライヴァー)が、かつて学生時代に卒業制作として作ったドン・キホーテの映画のDVDを偶然見て、撮影現場の村へ行って、出演した素人のスペイン人たちに会おうとする。しかし、キホーテを演じた老人(ジョナサン・プライス)は自分をキホーテだと思い込み、正気を失っていた。ドゥルシネアを演じた娘は芸能界入りを夢見て都会に出たが、結局、金持ちに囲われる堕落した女になっているという。娘の父親に、あの映画のせいでみな不幸になったと言われた監督は、キホーテの老人と旅をすることになり、夢と現実が交錯する物語が展開する。
途中、中だるみしているところもあったりして、全盛期のギリアムのような風刺や皮肉のうまさはないけれど、ギリアムらしい題材と映像で、彼の集大成のようなところもあって、この映画が完成できてよかったと素直に思った。馬上試合のシーンは「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」(あの映画では「ニー、ニー、ニー」だったのがこちらでは「ミー、ミー、ミー」になっている)、最後の巨人は「バンデットQ」を思い出す。
「スター・ウォーズ」の合間に話題作に出まくっているアダム・ドライヴァー、「天才作家の妻」や「2人のローマ教皇」などよい演技が続くジョナサン・プライスと、旬な俳優2人の組み合わせも絶品。ジョニー・デップよりもドライヴァーの方がコミカルな面が強く出てよかったのではないか。
キホーテの老人は監督をサンチョ・パンサと思い込むが、従者(squire)と言うところをリス(squirrel)と言ってしまうのだけど、字幕ではリスが「業者」になっていて、これではちょっと笑えない。「じゅうしゃ」と「ぎょうしゃ」では発音が似てないし、ピンと来ないと思う。私だったら思い切って「牛車」(ぎゅうしゃ)にするかな、と思ったけど、焼肉屋の名前になってるのね。「牛舎」でもよいかもだけど、これ、吹替えだったら「ぎゅうしゃ」の方が絶対いいんだけど、字幕だと漢字なので、見た目が「従者」と似ていなくなる。でも、「業者」だとわかりにくいし、面白味もないのも事実で、むずかしいところだ。「ぎゅうしゃ」だと一応、動物になっているので、「リス」と合っていていいと思うのだけど。

インターネット・ムービー・データベースのフォトギャラリーにいろいろなポスターがあった。そのうちの一部を画像を借りて紹介。





最後の3枚は似ているようで微妙に違う。3枚とも英語圏以外のポスター。