2016年5月21日土曜日

「ズートピア」字幕版

ただ今大ヒット中のアニメ「ズートピア」。評判がよいので見ておくかと字幕版を探したら、都心ぐらいでしかやってない! というわけで、字幕版が一番近いTOHOシネマズ日本橋へ。
木曜に予約をしておいたけれど、当日発券するときにはすでに完売。この土曜は「ズートピア」は全国的にすごい入りだったらしい。
確かによくできているというか、社会派の大人は人種差別のテーマを言うけれど、人種差別だけにとどまらず、いろいろな面で思い当たるふしのある内容で、子供から大人まで、自分の経験につきあわせて見ることができる映画になっている。
ズートピアというのはズー(動物園)とユートピアを合わせた造語で、動物の楽園ということ。そこではありとあらゆる動物が仲良く平和に暮らし、誰でもどんなものにでもなることができるはず、なのだが、実際はそうではない。
この世界はうさぎや羊はおとなしい動物とされ、キツネやイタチが狡猾で悪い動物とされるといった偏見がある。主人公のうさぎのジュディはうさぎとして初の警官になるが、警察にいる動物は強そうな動物ばかり。いろいろな動物がいるわけではない(アメリカで白人警官による黒人への暴力が起こる背景には、黒人警官が少ないことがあるらしい。映画には黒人警官がよく出てくるのだが)。ジュディも最初はばかにされ、違反切符を切る仕事をさせられるが、たまたま知り合った詐欺師のキツネとともに、行方不明になっている肉食動物たちを探すことになる。
そして行方不明の理由が明らかになるにつれて、草食動物たちが肉食動物(この世界では今は肉食をしていない)を恐れ、肉食動物を隔離せよなどといったことが起こってくる。
うさぎのジュディも、キツネの協力を得ているにもかかわらず、肉食動物の恐怖について語ってしまう(実はジュディは黒幕に利用されていたことがあとでわかるのだが、そのあたりのプロットの整合性もみごと)。
ミステリーとしてもとてもよくできていて、玉ねぎに見えたものの正体とか、ニンジン型の録音機とか、細部もうまい。草食動物から差別された経験を語るキツネの話もいい。
草食動物と肉食動物の対立を人種差別と見るのは簡単だし、特にアメリカには非常によくあてはまると思うが、この映画のいいところはやはりそこだけで終わらないところだ。差別する側の動物には強い動物に見下されることに対する怒りがあり、また、恐怖がある。弱い動物、おとなしい動物の方が差別をするというようになっている。弱い動物をいじめる強い動物が、実は自分に自信がなかったのでああいうことをしていたと語るシーンがある。強い者も弱い者もそれぞれにダークサイドを抱えているのだ。
字幕版ということで子供はいなかったが、まわりは20代くらいの若い人が多かった。吹替版には子供やファミリーが大勢つめかけているだろう。子供や若い人は人種差別うんぬんというよりは、自分のまわりにあるいじめなどの体験から映画に共感するのではないかと思う。むずかしいことを考えさせるのではなく、人間社会にあるダークサイドを見せて、でもそれは努力で解決できるんだということを楽しく教えてくれる。
実際、この映画のうさぎやキツネや羊やライオンのような人って、人間が集まる場所には必ずいると思う。
(そういえば、猫とか犬、それに哺乳類であるコウモリもいなかったな。)
予告がアニメやファンタジー映画ばかりで楽しかった。「ルドルフとイッパイアッテナ」はチラシを部屋に貼ってあって、興味があるのだが、「ファインディング・ドリー」もよくできていそう。

映画のあと、久しぶりに八重洲地下街のアルプスのカレーが食べたくなって、東京駅まで歩いた。以前はこのあたりはしょっちゅう来ていたのに、転居してからはたまにしか来なくなり、歩いているとなつかしさがこみあげてきた。丸善で水木しげるの版画展をやっていたが、時間がなく、見れず。残念(24日までとのこと)。