2016年5月11日水曜日

写真を撮ること、撮られること

私自身、安いデジカメで写真を撮っているわけですが、写真を撮られるのは大嫌いです。
自分の写真も、古いのは色あせたり、湿気でだめになったりで、自分の写真はほとんどありません。
子供の頃はかわいくない子だったので、写真を撮らせてと言われたことはないですが、大人になってから勝手に撮られた経験は、これも少ないけど、思い出しても、あのときの野郎、許せねえ、と思ってます。
1度はまだ若い頃、知床の観光船に乗るとき、係員が勝手に乗客の写真を撮り、帰りに並べて売るのです。撮っているのはわかったので、顔に手を当てて隠してもよかったんだけど、それをせず、写真も全然欲しくなかったのに買わないとその写真がどうされるかわからなかったので(普通は捨てると思いますが)、その不安から買いました。だから実害があったわけで、知床観光船許せんと今でも思ってます。
2度目は某所の地域猫に会いに行ったとき、NHKのBSのクルーが来ていて、猫の撮影をしていたのですが、猫たちは明らかにおびえていて、私が来ると私の方に逃げてくる、そういう状態でした。
当時は某所では地域猫ボランティアのリーダーが撮影許可を出していたので、ボランティアでもない私はどうすることもできず、でも、猫がおびえているので、心配でずっとそこにいました。
すると、何を勘違いしたのか、クルーが私の撮影を始めたのです。その上、猫に餌をやってくれと言うので、ついにキレた私は、「猫に餌やりすると罰金という条例を知らんのか!」と一喝。クルーはびっくりしてその場を去っていきました。あとでこのことを知ったボランティアのリーダーはかんかんに怒って、以後、マスコミの撮影は許可されなくなったそうです(おかげで静かになった)。
この某所周辺は飼い猫も勝手に撮影するクルーがいて、飼い主かんかんということもあったようです(猫だけじゃなく家の中とかも勝手に撮られるのだそうな)。
猫の中にはカメラを向けるとポーズをとってくれるくらい撮られ好きな子もいますが、たいていはカメラを向けると警戒します。撮られたくない子は後ろを向いてしまいます。私が親しくしている猫にも撮られるのがいやそうな子がいて、でも、私は親しいので少しは撮らせてくれるという感じです。
だから、町で子供に声をかけて写真を撮る人は、その子がそのときはOKしてもあとで不安になるとか考えないのだろうかと思います。猫と違って、子供は大人を拒否できない。写真を撮ってあげる、と言われると好意と思う。人の好意を拒否するなとか人に親切にしろとか教えられていると、拒否できない。でも、知床観光船で私が感じたように、おそらく不安になると思うのです。写真を撮られると魂を奪われると感じた昔の人の感覚は決して迷信ではないと思います。
私自身、写真を撮る人間ですが、カメラを持つ人をあまり好もしく思っていません。カメラを持つと、自分と被写体しか見えなくなる、その悪いところをけっこう目にします。今回の世田谷の写真展も、主催者は被写体を自分の所有物としか考えていないのが明らかです。そして、そのどこが悪いという感覚が社会にあるから、展示が終わるまでまったく問題にされなかったし、今も思ったほど問題にされてない感じがします。