2018年5月4日金曜日

「空海」16回目は吹替え版

映像をとるか音声をとるか?

「空海」こと「妖猫傳」のインターナショナル版が公開されて以来、この悩みにずっとつきまとわれていました。
吹替え版が公開された当初は大きいスクリーンでしたが、字幕のインターナショナル版が公開される頃は小さいスクリーンばかり。吹替えのときの方が映像きれいだったなあ、でも音声は断然中国語がいい! というジレンマ。
特に角川シネマ新宿のスクリーン2の教室の黒板のようなスクリーン、傾斜がないので見上げるのがつらい、椅子が座り心地が悪い、などなど、悪条件が。
一方、吹替え版もどんどん終了していて、吹替えを見た某TOHOシネマズもついに5月3日が千秋楽。しかもスクリーンは「君の名は。」を何度も見て、千秋楽も行った(完売でした)プレミア。たとえ吹替え版でもここの千秋楽は行く価値がある、と思いつつ、吹替え見たらがっかりするぞ、という思いもあり、悩みに悩んで、開映2時間半前になってようやく行く決意をし、ネットで予約して出かけました。
スクリーンは角川シネマ有楽町の方と同じくらいで、映像きれいだし椅子はいいし、見やすい。
久々の吹替えなので、吹替えや翻訳に関する発見もあり、いつもとは違う気持ちで見ました。
うーん、やっぱり空海と白楽天は中国語の方がバディ感が最高にいい。ネットでも白楽天の高橋一生、空海の染谷将太ご本人の吹替えは評判悪く、特に高橋はホアン・シュアンのファンからは総スカンでした。染谷の方は自分自身なのにぎごちないと言われていた。
確かに高橋一生の白楽天はミスキャストです。顔より声で選ぶべき。ホアン・シュアンの軽やかでテンション高い声が、高橋だと重くなってしまう。中国語音声を知った上でこの2人の吹替えを聞いているとつらいものがあります。
あと、雲樵もイメージに合っていない。
逆によかったのは、阿部寛のナレーションはもちろんですが、それ以外だと春琴の沢城みゆきが、演じるキティ・チャン(まんま猫の名前)とは声が違うけれどイメージ的には合っていてよい。高力士の金田明夫も中国語音声のイメージどおりです。
そして、やはりすばらしいのはスイカの妖術師の山寺宏一と猫の六平直政で、この2人のクライマックスでの日本語のやりとりは絶品。

すごいぞ! きみたちはオリジナルを超えた!

と言いたいくらいです。
終わりよければ万事よし、というように、このクライマックスの2人の演技がすばらしいので吹替えでもリピートしてしまったのだ、とわかりました。
実際、字幕版を見ていても、よかった吹替えの声は脳裏によみがえってきていました。逆にあまりよくなかった染谷や高橋の吹替えの声は忘れていた。

吹替え版は仲麻呂と楊貴妃のシーンに歌を入れてしまうのがよくないのだけれど、思ったほど歌は気になりませんでした。

翻訳は字幕の方がやはりいい。漢字にふりがなの方がわかりやすいだけでなく、吹替えを手直ししたところが字幕の方がいいのと、李白が詩を詠むシーンの吹替えの訳はかなりもとと違っていて、かといってわかりやすくなっているわけでもないので、ここはちょっと、と思いました。
逆に吹替えの方が訳がいいと思うところも少しありました。

というわけで、久々の吹替え版でしたが、これを最後にする気はないので、またインターナショナル版に行くでしょう。もう少し大きいスクリーンでやってくれないかなあ。

前の記事、衣装についての記事で、今回見たあとに少し訂正しています。

追記
実は今回はレイトショーでした。
とはいっても終了が23時なので日付がかわる前に帰宅できましたが、レイトだというのにシネコンに女性が多いのでびっくり。「君の名前で僕を呼んで」があるからかと思いましたが、「空海」も女性がかなり多い。というか、レイトなのにけっこう入っている。ただ券持ってる人の駆け込み需要か? エンドロールが始まると人がどんどん帰っていくのもレイトだからでしょうか?