2018年5月23日水曜日

彼女の猫はロシアンブルー:「2重螺旋の恋人」&「猫は抱くもの」

久々、試写2本立て。どちらも猫がらみ。しかも、ヒロインの猫はどちらもロシアンブルー?
今年は「空海」、「シェイプ・オブ・ウォーター」と、猫好きには地雷(特に後者)の映画が続き、「ウィンストン・チャーチル」では猫がひどい目にあわなくてよかった、と猫好きがつぶやく始末。
そして、フランソワ・オゾンの「2重螺旋の恋人」と犬童一心(犬なのに猫なのか)の「猫は抱くもの」も猫がらみ。

オゾンの新作はデイヴィッド・クローネンバーグのようなスリラーで、一瞬、キューブリックの「シャイニング」を思わせるシーンもある双子もの。心因性の腹痛に悩む女性が出会う双子の精神科医との三角関係を描く。双子の精神科医は非常に対照的な性格で、かたや善良、かたや冷酷。両方に惹かれるヒロインは、ということで、「ブラック・スワン」的なヒロインの妄想がいりまじる展開に。
このヒロインの飼っている猫がどうもロシアンブルーのような感じなのだ。
一方、冷酷な方の精神科医はオスの三毛猫を飼っていて、オスの三毛猫は非常にめずらしいこと、双子のうち片方がもう片方を吸収してできる、というような話をする。
この、片方が片方を吸収してしまう寄生性双子がキーポイントなのだが、これって、「ブラックジャック」のピノコでは?(これ以上のネタバレはしません。)
オゾンとしては、他の映画監督の作品にどこか似ているあたりがこれまでの作品に比べてイマイチと感じる。他の監督たちの方がこだわりを持っていたと感じるので余計にそう思う。
この映画では、猫好きには地雷の展開になりかかるが、最終的には猫は大丈夫なのでご心配なく。

「猫は抱くもの」の方は、猫たちを人間が演じるという趣向だけれど、どうもこれがあまりうまくいっていない感じだ。アニメも少し使っていて、やはり猫に演じさせるのは大変なのだということがわかる。
舞台劇のような作りになっているシーンが多いが、これもうーんそんなに、という感じ。
こちらもヒロインの猫がロシアンブルーで、若い女性にロシアンブルーが似合うのか?
男性側の人間の主役である絵を完成させない絵描きの飼っている猫は三毛猫のようで、これも「2重螺旋の恋人」と符合する(偶然だろうけど)。
ロシアンブルーが若い男性になってヒロインとからむのだけど、ここがあまり魅力がない。橋の下の捨てられた猫たちのシーンもあまり面白くない。
後半、元アイドルのヒロインと絵描きが本音をぶつけあい、やがて絵描きがヒロインのヌードを描き始めるシーンは見応えがあるが、このシーンでは猫はまったく関係なくて、猫の話と人間の話がどうもリンクしていないのだ。
ヒロインの人物造型も現代の女性の造型としてどうだろうとも思う。
いろいろ物足りない猫映画であった。