2019年12月22日日曜日

「スター・ウォーズ」9と「2人のローマ教皇」


土曜日にユナイテッド・シネマ松戸で「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」をIMAXレーザー3Dで鑑賞。
IMAXレーザーで見たかったけど、3Dは絶対いやだったので、TOHOシネマズららぽーと船橋のドルビーアトモスで見ようと思っていた。あそこはスクリーンがIMAXみたいで、映像も音響もかなりよい(IMAXレーザーほどではないが)。
ところが、ユナイテッド・シネマ松戸がなんと、割引クーポンをポスティングしてきたんですよ。
この割引クーポンを使えば、TOHO船橋ドルビーアトモスの入場料+交通費と、ユナイテッド・シネマ松戸IMAXレーザー3Dの入場料(クーポン利用)+帰りのバス代(行きは徒歩)がほぼ同じ。
うーん、三部作の最後だから、IMAXレーザー3Dにしようか、と思って予約。
IMAXの3Dは前に一度見ているけれど、メガネの上にメガネをかけるので画面が暗くなってしまい、二度と見たくないとさえ思った(ドルビーシネマは明るいので無問題)。
が、IMAXレーザーはメガネをかけても明るい。映像もちろんきれい。が、今回の「スター・ウォーズ」9は3D効果はあまりなく、時々立体的に見えるだけだった。
で、内容ですが、8があまりにひどかったので、かなりマシです。7の監督が復帰して、7と同じくコミケの二次創作の世界に戻ったので。
二次創作なので、あー、またこのパターンか、あー、またこのシーンか、と、既視感バリバリというか、二番煎じ感抜群というか、焼き直し感満載というか。
そして、相変わらず脚本はダメなので、ツッコミどころ満載。伏線回収とかまるで考えてなさそう。
映像も8のクライマックスの方が見応えあった気がする。というか、なんか、部分的に手抜き感がある映像なんだけど。
7の場合は二次創作でもうれしかったけど、さすがに9まで来ると、あまりうれしくないですが、8が二次創作とは違うことしようとして大失敗だったしね。
8に比べると、人物は9の方がみなキリッとしていて、存在感はある。
ローズとフィンの恋愛はなかったことにされてるのね。

で、8を見たとき思ったとおり、キャリー・フィッシャーの急死が大きかったと思う。
7はハン・ソロとカイロ・レンの父息子対決、8はルークとカイロ・レンの伯父甥対決、とくれば、9はレイアとカイロ・レンの母息子対決になるはずだっただろうし、また、レイアとレイの母娘のような関係も描けただろうけれど、フィッシャーが亡くなってしまったので、レイアは一応CGの合成で出てくるけれど、レイアとカイロ・レン、レイアとレイのようなドラマは作れなかったのだろう。実際、レイアとカイロ・レンのつながりがクライマックスで垣間見えるし、ルークとレイアの兄妹はレイにとっては精神的な父母のようであり、また、カイロ・レンにとってもルーク、レイア、ハン・ソロは切り離せない肉親であるように見える場面が出てくる。
そこを中心にドラマを組み立てることが、フィッシャーの死によってできなくなったとしたら、それは不運としか言いようがない。
でも、今回はなつかしいメンバーが1人戻って来たし、ラストシーンも6のオマージュのようで、二次創作としてはこれでよいのでしょう。

金曜日にはキネマ旬報シアターでネットフリックス映画「2人のローマ教皇」。
2012年、ローマ教皇庁は「スポットライト」にも描かれた司祭による性的虐待や他の問題の渦中にあり、人々の信頼を失いつつあった。教皇庁のやり方に疑問を持つ改革派のアルゼンチンの枢機卿は、教皇に辞職を申し出るため、ローマに着く。時のローマ教皇は保守派のドイツ人で、枢機卿とは水と油の関係だったが、2人が話し合っていくうちに、教皇は退位して改革派の枢機卿に次の教皇になって教会をたてなおしてもらいたいと思っていることがわかる。
映画は主にこの2人の話し合いと、その間にはさまれる枢機卿の回想で進んでいくが、英語以外の言語が非常に多い。イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ラテン語などなどが話されていて、英語は2人が話し合いをするシーンくらい。特に枢機卿の回想のアルゼンチンのシーンはすべてスペイン語で、この部分はアルゼンチンで撮影されていて、あたかもアルゼンチン映画のよう。
そんなわけで、欧米とアルゼンチンの合作のような雰囲気の映画で、こういうのはハリウッドのメジャーで作るのはむずかしいだろうと思う(「アイリッシュ・マン」や「マリッジ・ストーリー」はハリウッドのメジャーが手掛けてもおかしくないのだが)。このあたりの自由さがネットフリックスの長所か。
教皇と枢機卿を演じるアンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスが名演で、プライスの若い頃を演じる南米の俳優もいい。
現在の教皇誕生の裏話であると同時に、現教皇の伝記にもなっているが、その伝記部分でアルゼンチンの独裁政権時代が描かれる。ラテンアメリカの独裁政権時代を描く映画の1本にもなっている。
バチカン内部のセットや衣装も豪華だし、適度なユーモアもあるし、コンクラーベのシーンが具体的にこういうことをやっていたのかとわかるし、いろいろ楽しめる。「ROMA」同様、蝉の声や鳥の声などの音響が印象に残ったが、エンドクレジットにドルビーアトモスのロゴがあった。ドルビーアトモスの映画館でも上映できるようにしているのだ。
教皇の日本訪問もあったせいか、「マリッジ・ストーリー」よりもお客さんが入っている気がする。個人的にもこっちの方が好み。