2020年9月24日木曜日

「マーティン・エデン」@銀座

 連休明けの23日。急遽、シネスイッチ銀座で「マーティン・エデン」を見る。


入口のディスプレイ。



壁にかかった絵の一部。


手前と、さらに奥の両側に絵が並んでいます。

シネスイッチ銀座へ行ったのはおそらく30年ぶりくらいだと思う。前身の銀座文化時代から知っているが、主に行っていたのは古い映画をリバイバル上映していた銀座文化2の方で、地下の1はたぶん一度も行ってない。その後、1がシネスイッチ銀座になり、80年代に数回行ったかな、という程度。正直、見づらい映画館なので、避けていた。
で、30年ぶりに行ったら、ものすごーく古くなっていた。昔も古かったのだが、古さが全然違う。しかし、ネット予約のチケットはQRコード。半券が手元に残らない。

「マーティン・エデン」は8月に原作を読んで、ブログに記事も書いたけど(ヌードルスがトイレで読んでいた本)、映画はなぜか首都圏では千葉県だけ上映館がない。シネスイッチ銀座は苦手だし、他はどこも遠い。そのうち千葉劇場とかキネマ旬報シアターとかでやらないかな、と思いつつ、いや、これ以上、上映館は増えないのではないか、という不安もあり、急遽、思い立って、23日に見に行くことにした。(まあ、千葉劇場よりはシネスイッチ銀座の方が近いのだが。)

しかし、実は銀座も久しぶり。というか、上野以外の都心は最後に行ったのが3月の池袋で、コロナのせいで銀座日比谷方面はまったく行っていなかった。
銀座日比谷周辺は物心がついた頃から親しんでいた場所で、いわゆる繁華街では一番なじみの場所、思い出の多い場所。なので、久しぶりだからちょっとあちこち見てみたいなと思ったけれど、台風来るし、時間もあまりないし、で、有楽町駅と映画館の間くらいしか見られなかった。
インズのマックに久しぶりに入ったけれど、以前はあそこはいつも混んでいたのにガラガラ。銀座自体もなんだかものすごくさびれていて、これもコロナのせいだろうか。ウェンディーズがあった場所や無印良品があった場所が閉鎖されていたのもショック。あとに入ってくれるところがないのか。
そして、プランタンがいつのまにかユニクロとニトリになっていた。ユニクロとかニトリとかあちこちにあるけど、銀座だとやはり他とは違う雰囲気(狭いけど)。ユニクロ部分はエスカレーターの両側が吹き抜けになっているけど、プランタンのときもそうだっただろうか?

さて、「マーティン・エデン」だが、後半が自由主義と社会主義と個人主義の哲学論議になって、それに合わせて、原作の詩人の設定をかなり変えている。
第二次世界大戦後から70年代初めくらいまでのイタリアの歴史をドキュメンタリーふうの映像や幻想的な映像、回想シーンのようなものをはさんで表現していて、赤旗と黒旗がやりあう風景とか、他のイタリア映画で見た光景も描かれ、これと、上の思想哲学と階級格差による絶望的な貧富の差が描かれるのだけど、このあたり、ロンドンの原作にもないわけじゃないけど、イタリア特有の背景がよくわからない。イタリアの現代史から見てどうなのだろうと思うけれど、映画館に掲示されていた映画評のコピーにもあまりそれは書いていなかった。
そこで、さっき、ネットに出ていた英語の批評のいくつかを読んでみたのだが、こうした政治的思想的な側面に触れている批評はかなり手厳しい。逆にほめているのは、こうした面にほとんど触れていない。目にした日本語の批評は後者ばかり。
しかし、この映画は、前者の批評が問題にしている政治的思想的側面がキーなので、そこに触れずに映像表現だけ取り上げてほめるのはどういうもんだろうと思う。
なんにしても、こっちの知識不足が大きいので、もっと批評を探してみたい。