2021年10月1日金曜日

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」@台風

 やっと見られた「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」。


しかし、初日は台風。いろいろ災難な映画である。

なにもこんな日に見る必要はなかったのだが、前夜、いくつかの劇場で予約状況を見たら、思ったより予約が入っている。そうするとつられて予約したくなるんですよ。

が、翌朝、目が覚めると暴風雨。正直、後悔しました。

ふだんは徒歩35分のユナイテッド・シネマですが、さすがに全部歩くのは無理と踏んで、徒歩15分のところにあるバス停からバスでシネコンのあるショッピングセンターへ。が、15分歩いてバス停で数分待ったので靴の中までびしょぬれ。全部歩いても変わらなかったか?

予約した直後、上映時間163分と知り、007がこんなに長いのか? 大丈夫か?と思った。

冒頭のシーンはすばらしい。雪の中を歩く豆粒のような人間を俯瞰で撮った映像。そのエピソードが終わり、続くイタリアのアクションシーンもきびきびとして、期待させる。そして、007らしい伝統的なメインタイトル。

が、よかったのはここまででした。

いろいろ謎があったり、誰が敵かわからなかったりするのだけど、しだいに、この話がどうなってもかまわない、という感じになってくる。

恋人ではなくバディであるボンド・ガールたちは輝いているが、レイフ・ファインズのMは旧態依然の007の世界で、Mが出てくると古い世界に逆戻りの感。話はDNAを使ったバイオ兵器の感染による大量殺人で、それをもくろむ犯人に迫っていくわけだけど、その過程でスペクターとかブロフェルドとかがつまらなく消費されていく。

そういえば、私はダニエル・クレイグの007では唯一、前作の「スペクター」を見ていないのだった。これは「スペクター」の続きらしい、と、最初の部分でわかったが、「エンドゲーム」も「鬼滅の刃」も「シン・エヴァンゲリオン」もいきなり見ても楽しめたので、そこは気にしなかった。

んなわけで、ジュディ・デンチのMに対してファインズのMが旧態依然に感じられたのだろう。007は主役が交代することでシリーズがリセットされ、新たに別のシリーズが始まることで長生きしてきたが、クレイグのボンドでは第3作でMが死んだことで、一度リセットされていたのだ。

そして今回でクレイグもお役御免となるわけなんだけど。

しっかし、これ、ラミ・マレックの無駄使いがひどすぎる。ラミ・マレック、ほとんど出てこないに等しいし、「中東系の俳優はテロリストの役しか来ない」って、この映画のことだったのね。

まあ、クレイグ最後だからとにかくクレイグが画面に出てないとまずいので、163分もあってもマレックのシーンは刺身のツマ程度。役自体も全然練られてない。

でもって、最後はお姫様の救出と家族の絆かよ、やっぱり旧態依然、と思ったら、そのあとに衝撃の結末が。

ああ、これのネタバレされたくないから台風でも行かないといけないのだ。

とはいっても、途中で予想できちゃったけどね。

というわけで、クレイグの007ラストショーを眺めるにはよい映画。それ以上を求めると羊頭狗肉。ただ、ジョン・バリーのボンドのテーマがじゃんじゃんかかるのはよい。ハリウッド映画でゴジラのテーマがじゃんじゃんかかるとよいのに似てるが。

そんなわけで、ネタバレされたくない人は情報遮断してすぐに映画館へ行きましょう。

雨がやんだので帰りは歩いて帰りましたが、まあ、行ってよかったかな。

今月は話題作目白押しですが、ユナイテッドシネマは「最後の決闘裁判」が目玉なのだろうか? 「デューン」じゃなく? 私はこれ、「デューン」より期待してますが。リドリー・スコットの処女作「デュエリスト」と対応してるのかな、と思ったけど、スコット、次はグッチの映画みたいで、まだまだ元気そう。