2016年12月30日金曜日

キャリー・フィッシャーとデビー・レイノルズ

レイア姫ことキャリー・フィッシャーの突然の訃報に続き、翌日には母デビー・レイノルズが亡くなったというニュースが。
レイノルズは高齢なので、大丈夫だろうかと思っていた矢先だった。
息子の家で葬儀の打ち合わせをしていたときに脳卒中で倒れたとのことで、やはり娘の死がショックだったのだろう。
デビー・レイノルズといえば、やっぱり「雨に唄えば」。当時はまだ新人で、歌も踊りも本職ではなく、歌は一部吹替えられてしまい、ダンスはジーン・ケリーにしごかれた、という話が伝わっている。本人も、クライマックスの涙はまだ演技が未熟で流せなかったので玉ねぎを使ったと告白している(今は流せる、と語っていた)。
その後、彼女は堂々たるミュージカル女優になり、西部劇「西部開拓史」では歌うヒロインで強い印象を残し、「タミー」や「ドミニク」といったヒットソングを歌い、「不沈のモリー・ブラウン」ではアカデミー賞にノミネート(このモリー・ブラウンは「タイタニック」でキャシー・ベイツが演じた女性と同一人物)。最近も「恋するリベラーチェ」などに出演していた。
一方、レイア姫で有名になり、その後は作家、脚本家として才能を発揮し、母デビーとの確執をもとにした小説を出版、その映画化「ハリウッドにくちづけ」ではシャーリー・マクレーンとメリル・ストリープが母娘を演じて話題に、といった、母とはだいぶ違う芸能人生を送っていたキャリー・フィッシャー。薬物依存とか精神の病とか、わりと暗い話題もあるキャリーに対して、デビーは明るいイメージを保ち続けていたように思う。だから高齢でも元気にしていたのだろうけど、娘の急死はこたえたのだろう。
キャリー・フィッシャーの方は、「スター・ウォーズ」の新しい三部作で再びレイア姫を演じ、「フォースの覚醒」では髪型と服装で損をしているので気の毒だなあと思った。ハン・ソロとレイアの息子がダークサイドに堕ちて、という話で、母であるレイアと息子とのかかわりが次作以降、どうなるのか気になっていた。次作の撮影は終了しているとのことなので、もう一度、レイア姫に会える。
思えば「スター・ウォーズ」は昔ながらの冒険活劇や西部劇をSFの世界に再現した映画で、ルークがダース・ベイダーに捕らわれたレイア姫を助けに行くという設定は昔ながらの王子様とお姫様の話で、それをひねったのがモーツァルトの「魔笛」。タミーノという王子が夜の女王に、ザラストロという男にさらわれた娘パミーナを助けてくれと頼まれ、パミーナの顔を見ただけで恋に落ちたタミーノがザラストロのもとへ行くと、実はザラストロと夜の女王は元夫婦で、悪いのは夜の女王の方、ザラストロは娘パミーナを守ったのだ、とわかる。
「スター・ウォーズ」の場合は、ルークがレイア姫に恋して助けに行くのとはちょっと違うのだけど(直接的には殺されたおじとおばの復讐)、囚われのお姫様を助けに行く騎士という王道の設定。それが後半、囚われのお姫様レイアが気が強くて、ルークと一緒に戦ったりするのが昔話と違う。そして、第1作ではルークとレイアがいい仲になりそうだったのに、次作「帝国の逆襲」ではレイアとハン・ソロが仲良くなり、ルークとレイアは兄妹だとわかり、と、昔話のパターンから逸脱していく。
最近の「フォースの覚醒」や「ローグ・ワン」では主人公は戦う女性になっているけれど、戦う女性の原点としてレイア姫がいる。
「雨に唄えば」も「スター・ウォーズ」最初の三部作もDVD持っているから、再見して、デビー・レイノルズとキャリー・フィッシャーを追悼したい。